三冊とも読み終わりました。
今後シリーズが続くのかどうかはわかりませんが、とりあえず三作品ともH/H共に同じタイプであるように思いますので、あまり長く続くと飽きがくるかも知れません。事件らしきものは三作ともあるんですが、そんなものを読ませる小説ではないので、ロマンス部分だけ重視してあとはあっけにとられるほど簡単に短く、清々しいほどの力技で解決。(でもそれが気に触ることはありません。ハードボイルド小説ではないので)この三部作で終わりのほうがいいような気もしますが、けど、あえてあと一冊だけ書いて欲しい!
三冊読んで、一番気になる男性はヒーローたちではなく、一作目、三作目のヒーローの仕事仲間であるジャッコというキャラでした。パンクファッション、全身ピアス、毒蛇のタトゥー、スキンヘッド 音楽の趣味が合いそうな気がします。彼に、この三冊のヒロインたちと同じような清純系彼女とか出来たら…… すごい私ホイホイなんですけど!
各H/Hは
「真夜中の男」元SEALの警備会社CEOジョン×インテリアデザイナースザンヌ
「真夜中の誘惑」元USMCの殺人課刑事バド(一作目のヒーローの友人)×大富豪の令嬢クレア(一作目のヒロインの親友)
「真夜中の天使」元SEALの鬼教官で警備会社の共同責任者ダグラス(一作目のヒーローの会社)×盲目の歌姫アレグラ(一作目、二作目のヒロインの親友)
という感じでヒーローはヒーロー、ヒロインはヒロインで全員横の繋がりがあります。ジャッコはその警備会社の人間で、鬼教官ダグラスが「命を預けられる」という実力の持ち主。外見は「部屋に入ったら顔を背けられる」ダグラスよりも上をいき「部屋に入ったら人が逃げ出す」恐ろしさとか。萌える……! お相手はぜひ素直で素朴で清純派美少女系美女でお願いします!
そんなこんなでヒロインはヒステリックじゃないし、頑固と言われても鼻につくほどではないし、美人だし小柄だし(ここ重要。といってもヒーローが全員巨大なので、身長差を考えたら170くらいはあるかもしれません。けど、体格差萌えの私は十分満足しました)全員が私好みだったのですが、ヒーローがね……
全員、ものっすごい過保護で超ウザイ!><
二作目のヒロイン、クレアがバドにうんざりする気持ちがすっごくよくわかります。三人のヒーロー'sは全員例外なく男性ホルモンを過剰に分泌しており、ヒロインを守ろうとするあまりに行動をかなり束縛したりもする。会社の人間を運転手に使おうとする公私混同、ヒロインがキャリアの為に人脈を広げるのさえ、その独占欲が時に障害になっていたりもする。
……って感じの割には、結局ヒロインの尻に敷かれてたりするわけですけど……>< 三ヒーローとも同じタイプってことは、著者さんこういう男性が好みなのかな?
私にはどうみてもこの三人が「大人の男」にはちっとも思えませんでした。いつ「俺は危険な男だ」と自分で言い出すかと、母のような気持ちでひやひやと見守った……orz 日本人として、日本の社会で生きて来た私にとって、仕事とプライベートのこういう公私混同は違和感を感じるものですし、ましてヒロインが少しでも人脈をひろげるべき時に、真横で近づく人間を犯罪者を見るような目で睥睨してるとかってあり得ないです。度量が狭いなあ……。三人ともそれなりに実力者なんだから、ヒロインをのびのびと自由に生きさせたうえできっちり守ってみせたらどうなのと思う。まあ、守られる方にも危機感と自覚がなければ守りきれないってほどアメリカが危険だっていうことなのかも知れませんが。私にとっての理想のヒーローとは、先日日記にて紹介した「風のゆくえ」のヴィットリオのように、きちんと見守りながらも好きに泳がせてくれるタイプなんですよね。とかいって私がぐずぐず思っていても、結局のところ束縛されることをヒロイン'sは受け入れているんだし、私がとやかく言うことではないんですけど、私がヒロイン'sならどっかの時点でドン引きしてると思います。
弱点を作りたくないがために守るべき者を持ちたがらないヒーロー──ロマンス小説に限らずですね──いますよね。実際に愛する人を見つけると、確かにそれはアキレス腱にもなるけれども、それが彼の強さになったりとか、物語ではそうなるのが定石と思ってたんですが、特に一作目、三作目のヒーローなんかはヒロインの存在が強さに繋がったと読んでて感じる部分が全然なくて、帰ってダメになったような気しかしないんです。私がクライアントなら、ヒロインに何かあったら仕事放り出されるかもしれないと思うから、あんまり信用する気になれないというか。
楽しみにしてた三作めのヒーローも、最後のあたり、優秀な兵士のくせにこれまでに培った何もかもをすっとばして重傷を負った上、ヒロインも守れないかも、という事態に陥る。ヒロインを案じるあまりとはいえちょっともにょもにょ……。いざ何かあったときにこんなふうになるんじゃ、家から一歩も出ないで閉じこもってたって、危険なことには変わりないじゃんと思ってしまいました。
うーん。なんだかんだいって面白くは読めました。でも、もしこの先にこの警備会社関係のヒーローの本が出たとしても、ジャッコがヒーローでなければ飛びつくことはないように思います。
──ジャッコもまた、同じようなパターンになるとしたら、妄想で終わっておけば良かったと思うかもしれませんが……。