ラスト・チャイルド
場所に寄るのかも知れませんが、私の通う図書館では、閉架書庫の本を借りるときはまず検索用のパソコンで探し、印刷した紙を持って専用の受付にいき、閉架書庫を探してもらいます。見つけていただいたら名前を呼ばれるので希望の本で間違いないか確認し、間違いなければ改めて貸し出し・返却受付に向かいます。
日曜、探した本が八冊とも閉架書庫にあったので探していただき、「森川さん!」(※もちろん本名ではないです)と呼ばれて受付に行ったらすい〜っと横から前バイトの同僚が現れました。ちょっと前に『王妃の離婚』を貸した、と書いた活字中毒仲間です。
「『森川』って名前、珍しいからもしかして、って思ったよ」と言われすみっこで少し近況報告し合いましたが、丸六年、同じ図書館に通いながら一度も会わなかったのに、おかしな話ですよね。
日曜に返却した本七冊のうち六冊が外れでしたが、残る一冊『ラスト・チャイルド』はかなり面白かったです。
主人公13歳のジョニー(結構な美少年らしい)は一年前に行方不明になった双子の妹、アリッサの行方を時に学校をさぼり、無免許で車を乗り回しながら探しています。美少年の上強く(精神的に)、優しく、かなり頭も良い子です。
父親もアリッサが行方不明になったあと行方をくらましていていないし、(父が迎えに行くはずだったのに、仕事で行かなかったことを母親になじられた直後からいなくなったので、ジョニーも母親も、世間の人も耐えられずに家出したと見ている)母親は絶世の美少女じみた美女らしく、周囲から男の影が消えない上に薬中になってます。その生活を守り、母を守り、母のボーイフレンドに暴力を振るわれながら父の帰還を信じ、妹を探すジョニーがほんとに健気で、ハッピーエンドを願わずにはいられないのですが、途中で小さな子どもを性の対象とする犯罪者と戦ったり、その被害者の遺体がたくさんみつかってひやりとする場面があったりと息が抜けません。通勤途中と休憩時間しか読む時間なかったので時間はかかりましたが、読み応えありました。
予想通りというべきか、案外予想外だったというべきか、複雑な気分になる結末を迎えるのですが、私的には最後の行でハッピーエンドにカテゴライズしてもいいと思いました。
余談ですが、頭の良い美少年、ということでこれも愛読書の「ダディ」(ヒロミ・ゴーのじゃなく、ルー・デュランのです)のトマ少年を強く思い出しました。こちらの母親は強すぎましたが……。ボディガードのミケルがなかなかカッコいいのです。