ロマンス小説は当たり外れが大きいんですが、「思いあふれて」(ご紹介ありがとうございました)「夢の騎士にふたたび」に続いてシェイプシフターものの「黄金の瞳に心奪われて」(二作収録)「琥珀の瞳にもう一度」も大当たりでした。
「黄金の瞳に〜」のヒロインは先日ちょっと触れました「こんちくしょう!」のヒロインです。ヒーローのメイスはライオンのシフター、ヒロインのディーは普通の人間、警官です。(ヒロインが警官、という設定には少々弱いです。マンガの「花咲ける青少年」のカジカの両親のストーリーが好きなのからきているかも。ヒロインはおそらくボブヘアだと思うんですが、ヒロインの容姿をキティで想像してしまった)ヒーローは子どものころからず──っとヒロインが好きで、合衆国海軍にいた間も執拗に想い続けていたため、彼の友人たちが初対面のヒロインを知人のように扱うのがほほえましかったです。残念ながらヒロインは超犬派で、大型犬を二頭飼っているのですが、そのことにひどいショックを受けながらも絶対に引かないヒーローが可愛かったです。犬派で猫嫌いのヒロインは、ヒーローよりも彼の親友の狼のシフターと一緒にいるほうが落ち着くという。可哀想な猫ちゃん
彼らは互いを「猫」だの「犬」だの呼び合っているのですが(犬のシフターもいます)行動がだいぶ動物の習性にそってますので、読んでてくす、と思うことも多いです。ライオンは基本、雌を中心としたプライド(群れ)を作っています。雄は食べさせてもらって、子どもを作り、プライドを守る。ただ人間の部分もあるので、それをまるでヒモの用に感じて受け入れられないライオンシフターの雄もいる。ヒーローもそんな、一匹狼のようなライオン。
反面、親友のスミッティ(名字がスミスであることからついたあだ名。スミス=スミッティは海外小説では時折みかけるので、お約束のあだ名なのかも)は正しい狼のアルファ(第一位の雄)としてパック(群れ)を率いています。一緒に退役し、一緒に会社を立ち上げたので、スミス・パックの仲間たちとヒーローは仲が良い。ヒロインが犬派と知って、ヒーローはこの狼たちの群れに大爆笑されました。なにかと不憫なヒーローでしたが、シリーズの他のお話でも個性の強いディーに押されて、そこはかとなく不憫臭が漂って……。犬もまた一匹増えて、三匹飼うことになってるし。
二作目は、メイスの姉のプライドから抜けたばかりのブレンダンがヒーロー。もちろんライオンシフターです。ヒロインはスミッティの妹の親友ロニーなので、ライオンと狼の異種恋愛になります。
とはいえ、普通にあることのようなので、一部の差別主義者が違う種のシフターと恋愛関係になることに渋い顔するくらいで別に禁忌でもありません。ただ……混血児は笑いのネタになるようなユニークな容姿になることもあるようです^^; でも人間型になったら美女だったりするようなので、ネタにはなってもそれで子づくりを諦めようとか、そんな深刻なことにはなりません。
というか、この話全体が深刻なことにはなり得ないというか……。おおらかでなんでもジョークにしてしまう、いかにもアメリカ人(私の偏見に満ちたアメリカ人のステレオタイプ)といった様子がすごく楽しくて好感持てます。
二冊目の「琥珀の瞳に〜」はスミッティがヒーロー。ワイルドドッグシフターのジェシー・アンがヒロインで、こちらも異種恋愛。ちょっと犬のシフターのことはわかりづらいんですが、原種の犬ならシフターがいる、というようなことを読んだような気がするんだけど、秋田犬のシフターが出てくるんですよね。秋田犬も交配種のはずなので??って感じなんですが……。とりあえず、いわゆる愛玩犬にはいない模様。(犬のシフターが犬を飼ってたりもする)
いやはや、スミッティといいメイスといい、好きな子を思い続ける執拗さはさすがに親友同士。ジェシー・アンは自分だけは有名なヤリチン男スミッティに相手にもされなかったと思い込んでいますが、実は……。
スミッティの執拗さ、なにがあっても「お前はおれのことがすきなはず」と決めつけている様子は、普通なら私のカンにには障るんですが^^: やることなすこと構ってちゃんな犬のようで全然腹が立たない。あれこれとずーっとすれ違いが続くんですが、それに関しては私は完全にジェシー・アンの味方でした。
このワイルドドッグのパックの連中が底抜けに変人で、陽気で、オタクで、子どもが大好きな連中で(犬だけに)、すごく好感が持てます。狼のシフターは犬のシフターを小馬鹿にしてることが多いみたいですけど、個人的に知り合うと愉快なやつらだと思うのか、それなりに仲良くなったり認め合ったりしているのです。ここまでの三作では、私はこの「琥珀の瞳に〜」が一番好きです。ヒロインがすごく可愛い。
そしてH/Hの行く末より気になったのが、その秋田犬のシフター、ケンシン・イヌイ氏(笑)
世界中をイヌイ・パックとともに旅しているらしい大富豪の彼は、どうやらスミッティとメイスがやってる警備会社の日本支部立ち上げのビジネスパートナーとなったようなので、シリーズのこれからにも登場が期待されます。いつか禁断の日本人(シフターだけど)ヒーローが誕生してくれたらいうことはないのに……。基本女性が読む物だから、日本人、というか東洋人ヒロインはあり得なくても、ヒーローには期待したいな。
そういえばロマンス小説恒例のエロシーンですが、私今回雪原での壮絶なシーンで初めて「エロシーンだ」とドキドキしました。これまでこの手の小説のベッドシーンにエロスを感じたことがありませんでしたが、著者のせいか訳者さんのせいか、このシリーズはそのシーンにちゃんとエロスを感じるし素敵だなと思います。いや、すっごく明るくベッドに入ってて、苦悩の欠片もないのがいいのかなー。最中にべらべらしゃべってないのがいいのかなー? そういう意味でも◎です。
今は三冊目、四作目にあたるのを読んでいます。二作目のヒーローブレンダンの腹違いの弟ミッチとスミッティの妹シシー・メイのお話。シシー・メイと仲の良くない狼たちとかなり深刻な闘争になるかとどきどきしていたら、ミッチ(ライオン)が狼チームの一員としてフットボールの試合に出て熊のチームに買ったら許してやるとか……>< なんだよお前たち、そっちの方が大事なの?! プライドはないの?! って。ちょっと高度だけど、基本「取ってこい」だから犬連中はフットボールに夢中なんだとせせら笑うミッチの言い草に吹きました。
ロマンス小説だという偏見抜きで読んでみてもいいんじゃないかな、と思います。ロマンス小説のいいところは絶対にハッピーエンドってとこですしね!
ええと最後に私信になりますが。
fra様、返信がご迷惑になるわけではないようですので、勝手ながら時間を好きなことに使うことにして、レスページに返信させていただいています。よろしければ……。