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2014年11月

Arn 鋼の騎士団

200分近くあり長いので、ディスクが2つに分かれてました。

スウェーデンがまだ統一国家ではなかった12世紀半ば。母の誓いによって、幼いアーンは修道院へ預けられることに。そこには武術に秀でた元テンプル騎士がおり、アーンが熱心に稽古の様子を見ているのを見て、弓や剣、馬術を教えてくれるようになる。

成長したアーンは尼僧院で歌を歌っていたセシリアと恋に落ち、結婚を誓うのだが、姉が結婚すれば、自分はそのぶん持参金不足で修道院で足どめを食うと、それを嫌ったセシリアの妹によって二人は陥れられ、罪を償うためにセシリアは尼僧院へ、アーンはテンプル騎士団へと、20年の別離を余儀なくされる。

セシリアは尼僧院で産み落とした息子を奪われ、アーンは彼女の知らないうちに十字軍騎士として、エルサレムへ向かい、聖地奪還の戦いに身を投じる……。

というようなお話。

このころの映画や小説は結構ありますが、第三回十字軍を破って100年ぶりにエルサレムを奪還し、あの獅子心王リチャードの猛攻を耐え抜き、200年に及ぶ十字軍の戦いに終止符を打ったサラディン、やっぱり人気がありますのでたいがいイケメンになってますね。っていうか、イケメンにしないと許されない雰囲気ありますよね。(人格者で知られ、当時はヨーロッパでも人気があったし、十字軍にすら彼を尊敬する者は多かった)arnでもやっぱりイケメンでした。

長くエルサレムにいたせいで現地の言葉はネイティブ並み、そしてそのサラディンに出会ったことによって、アーンはイスラム教徒を鏖殺することしか頭にない血に餓えた十字軍兵士とは違う成長を遂げたようです。それが結果的に、テンプル騎士全滅と言われた敗戦で、アーンの命を救うのですが。

このころ、十字軍はイスラム教徒の捕虜を皆殺しにしてましたが、サラディンや彼の弟は殺さず解放していました。十字軍の女子供を含め武器を持たない人々に対する横暴は知れば知るほど当時の某宗教への嫌悪感を感じさせ、ほんとに腹立たしいほどなのですが、中でもベドウィンの人々(非戦闘員)を護ろうとするアーンを罵る騎士の姿には、こういう無知蒙昧さがあの時代普通であったとかそういうのわかってても苛々させられました。テンプル騎士が(というか騎士が)どれだけ馬を大切にしていたか後世まで伝わるほどだというのに、言うに事欠いてその騎士が、タイマンに負けた!腹いせに!アーンの馬を刺殺するシーンは怒りが沸くというより気持ち悪かった。アーンに瞬殺されざまあだったのですが、私としてはこういう騎士どころか男の風上にも置けないようなチ○カス、チソコもいで女の集団で囲んで指差して笑ってやりたい。

また最初の指揮官が、アーンとは最初から折り合いが悪かったやつに替わってからも苛々は続きます。無能なやつほど自信満々で部下の進言を聞かないし、伝家の宝刀「私の命令に黙って従ってればいいんだ!」をこいつも過たず抜きました。いやだから、君の言うことに黙って従ってたら死んじゃうから意見するんだってば。こいつも結局ざまあな最後なのですが、こういうシチュエーション見るたびにいつも思うんです、死ぬまでの短い間でいいから、周囲の兵は冷たーい目を向けて口々に「無能!」と罵ってくれないかな、と。

後半はセシリアと無事再会し、森の中で彼について来た人々とともに小さな集落を作って平穏に暮らしているのですが、幼なじみであり、王座奪還に手を貸してやった王が亡くなってから、否応無く再び戦いに巻き込まれていきます。戦のいの字も知らないような新王は兵力に勝っているせいでアーンたちを哀れむように見下してるのですが、長い間激戦をくぐり抜けてきたテンプル騎士の生き残りになぜ必勝だと思っていたのだか。この王様、命だけは繋がりましたが、大勢の自軍兵士の前で「二度と来んな」と蹴飛ばされて、這々の体で去って行った姿にすっきりと溜飲が下がりました。

白兵戦は当時の剣の特性を生かし、ひたすら「突く!」って感じでリアル感ありましたし、実際の戦闘の場でやると隙になるんでしょうが、両効きのアーンが空中で一回転させて反対の手に移したり、右に左に剣を持ち替えて戦ってるのはカッコ良かった。私はサラディンのファンなのですけれども(笑)

クリスマス仕様にしてみた

多分お正月くらいまでこのままいくかもです。

仕様上、一度どっかをクリックすると雪が消えてしまいます。日記に使ってるfreoだけはちょっと面倒なので、降らせてませんsad やる気が満ち満ちたらなんとかするかもですが、多分面倒……。

──結局降らせたーsnow

眠気が取れたら普通にやろうって気になりました。 

鹿の王

電子版のみの特典イラスト(なんと梶原にきさんheart01)が付いているというので、上下バラで買う方が若干お得なのですが合本版を購入。(電子版の下巻にイラストがあるのかどうかはわからなかった)先日もちらっと言った通り、主人公の名がヴァンですので、私は師匠の顔で想像してしまって困ってました。このイラストのヴァンはすごく好みでカッコ良く! ユナは可愛くて、「よし! このイメージで!」と読み始めましたが、ちょっと「人造天使」のヴァンとルーク(ユナは女児ですが)だな……と思ってしまったりするとまたイメージが師匠に逆戻り……。

もう一気に読みたくなるのを堪えて堪えて努めてゆっくり読了しました。私は昔から上橋菜穂子先生の大ファンで、「精霊の木」からすべて所持していますが、最も好きなのはこれまでは「狐笛のかなた」でした。でも「鹿の王」読了後にはこれが一番になりました。「鹿の王」は、いつか巻末イラスト付きの紙の本が出たら、きっと買い直すだろうと思います。

〈独角〉のヴァンは死兵となって戦った先の戦いで一人生き残ってしまい、捕らえられ、岩塩鉱で奴隷となって働いていた。ある日、そこに獣が襲いかかってきて、つぎつぎに人を襲い始める。やがて、噛まれた人々は次々に謎の病に倒れ、ヴァンもまた、鎖で杭に繋がれたまま発熱し、倒れ伏す。

悪夢を見て目覚めた時、そこには征服者、奴隷含め、死者しかいなかった。人の力で切れるはずもない鎖を引きちぎり、ヴァンは岩塩鉱から彷徨い出たのだが、地上で働くものたちももまた、死者に成り果てていた。

生き残りや、食べ物、逃亡のためのあれこれを探して歩くうち、奴隷の食事を作る厨房で、同じく生き残った幼い子どもを見つける──

というようなお話。

〈独角〉というのは、生きる縁を失った哀しい男たちで構成された戦士団です。
親や伴侶、子や友、愛するものすべてを失い、生きる屍と成り果てても、いつか「常春の地」にて彼らに再会するため、自死を選ぶことも出来ない男たちは、何かの折りには氏族のために戦うと誓いを立て、代わりに掟に縛られずに自由に生きることを許されています。そんな男たちをまとめ上げる長がヴァン。氏族長からの要請で、これで死に場所を得ることが出来ると全員張り切って戦い、無事に(?)本懐を遂げることが出来たのに、ヴァンは多分優秀すぎたせいなのか、やはり一人生き残ってしまうんです。

征服者と被征服者の複雑な関係からなる政治的な話、獣によってもたらされる感染症、病原菌、免疫の話と、メインの登場人物の視点によって物語の中心となる事柄は違うのですが、この二つは強く絡まり合っていて、病を得ながらまたも生き残ったヴァンと、ユナを否応無く巻き込んで行くのです。

感染症の話はお医者さんが監修していることもあり、非常に詳しく、わかりやすくなっていますし、麻疹や天然痘などですでに馴染みがある話なので、つるんと入ると思うんですが、これがいわゆる異世界ファンタジーなのだと思うとなんだか不思議でもあり、新しい!と感じるようでもあり。

上橋先生作品は守人シリーズ、獣の奏者とアニメ化されたので、日頃児童文学は嗜まない方でもこれだけは読んでみようという方も多いでしょうし、感想はネタバレにも繋がるし書き難いですね^^; 個人的には上橋先生の最高傑作なのではないかと思います。暫定的にですが。次に出るものがもっと好きになるかもしれないし……。ぜひ、ご自分でお読みになってみてください。

今、Voiceを弄り回してるので特にそう思ったのかも知れないんですが(ヴァンがまた、voiceアッシュとは正反対の生き方をしていたため)、生きる、というのは、やはり素晴らしいことなのだと思いました。

中に、命を繋いでいくことが出来なかった、繋ぐことが出来ないかもしれない二人の女性が出てきます。ずっとここを読んで下さってる方はご存知の通り、私も、命を次世代に繋ぐことが出来ませんでした。

《一人一人が次の世代を産めたか、産むことができなかったかということで、その命の連鎖の糸が消えるようなものじゃないんです》 

それは実際に子どもを失ったことの無い人の綺麗ごとだと胸が詰まりました。ここでミラルが言っていることを私が心から理解し、納得するのは、もっともっと長い年月が必要なようです。或いは、理解出来ないままで終わるのかも。

でもそれでも、生きているということは大切な、素晴らしいことなんだと思います。ヴァンが〈独角〉でなければ、ユナの命はおそらく失われていたし、ユナを慈しみ、育てることで少しずつヴァンは生きる屍から生きた男、父親に立ち戻っていきました。ユナの命、オキの民の飛鹿の命を繋いだのはヴァンなのだろうし、もしかしたらサエの命──というより人生も繋いだかも。

一本の線のように命を繋ぐことは出来なくても、私も、せめてそのように何かを繋いで行ける、そんな生き方をしたい。どんなにささやかなものでもいいから。今死んでしまったら、私には本当にこの世に産まれた証が何も残りません。親兄弟やその子、友人たちが生きている間なら、憶えてくれる人もいるでしょうが、そのあとは? 誰の記憶にも残らず、大好きな人の血も残してあげられず、私には何が残るんだろうとずっと考えていました。未だに答えは出ません。

それでも今、生きることが楽しい、素晴らしいと思える限り、何かが残せるのではないかと、そんな希望を持てたらいいと思いました。

……今気付いたけど、今日は亡き父の誕生日だったんですね。なんだかこんな日にこんなことを考えているのが、父に申し訳ない気がしてきました。

……頑張ろう。

帰って来たヒトラー

……の感想の前に、「Mark Like Mine IF」の1〜4話まで、若干の手直しの上でサイト内に上げておきました。アナウンスを忘れていましたが、昨日闘犬も30話まで再アップ済です。

MLMIFは私自身かなり悪のりしてたので、大幅に修正が必要かと思ってましたが、時間を置いて読み返すと「……まあいいか」ってなりました。

 

さて、「帰って来たヒトラー」上下巻ともにかなり考えさせられながら読了しました。

あらすじは、

2011年8月、アドルフ・ヒトラーが突然ベルリンで目覚める。人々は彼を「そっくりさん」の芸人だと思い込み、彼の芸風(本人は真面目に政治活動をしている)に熱狂していく……

というものです。風刺小説です。

この小説の中で蘇ったヒトラーは、新しいタイプの芸人ともてはやされながら粛々と政治活動を行っています。本を読み、ネットに通じ、メールアドレスを取得してHPを開設し、お悩み相談に答えながら現代の政治の(ドイツの)ありようを問う。その舌鋒は鋭く無駄や欠点を突き、子どもの通学路に対する批判など細かいところも見ており、もしかして彼に民族差別の根がなければ意外に良い政治家になったのではないかと思わせるのですが、ユダヤ人始めロマ(ジプシー)や有色人種などを排斥して純粋なアーリア人の血統を守ると言う政策こそがウケたとも言えるので(我々極東の島国人にはよく理解出来ませんが、古典でしばしば悪役になっているように、大昔から欧州の人々はユダヤ人を非常に嫌ってましたので)、その思想がないヒトラーだとしたらいくら演説の才能に恵まれていたといっても政権を握れるほど台頭できたのかどうかはちょっとわかりません。

彼は現代でもよく学んでいますが、結局敗戦後の国のありようから、自身の政策の反省をしたり、思想が変革することはありません。なので、彼に魅かれる人々との会話もかみ合っていません。

例えば「ユダヤ人のことは冗談の種にならない」

この発言に対して私たちは「(あの惨く悲惨な出来事を)冗談で語ってはならない」と受け取りますが、彼の発言の意味は違うんです。互いにそれに気付かないところが笑いのツボなのですが、彼が気に入っているパートタイム秘書嬢のおばあさんの話があってなお、彼は自分の意見というか哲学を曲げないのだなと、少ししんとする思いでした。

それまではどこにでもいる、子どもや動物を愛するちょっと偏屈なおじさん、というふうに見えてましたし、彼だって人を愛することを知っているとわかりますし、その弁論にも一理あると思うことすらあったのですが。高校生の時読んだきりなのでかなりうろ覚えなのですが、結局、「我が闘争」まんまのヒトラー、ほんとうにそのままが現代に復活したと言う感じなのです。

その点、著者にも訳者にも脱帽です。今から読む方は上下揃えた上で下巻の後書きを先にお読みになるといいのではないでしょうか。読み始める前の心構えが変わってくると思います。

二十歳くらいのころだったかな、ヒトラーの演説の本物の映像見ました。言葉はわからずとも衝撃的で、ところどころ憶えてしまって一緒に観た友人たちとしばらく身振り手振り含めて物まねとかしてたんですが、本を読んでても抑揚と勢いが思い出されるくらいでした。その口の上手さ、ヨブ・トリューニヒトなんか足下にも及びません(笑)私のように人の影響を受けやすいタイプは、当時ドイツ国民であったらうかうかと党員になっていたかもしれないと思ったりもします。残念なことですが、私にだって差別意識がありますしね。ただそれを口に出さない良識と、恥ずかしく思う意識があるだけで。

「もし、あなたが誰かに責任を問いたいなら、可能性は二つ。一つはナチスの指揮権をたどること。それによれば、事態に責任を負うべき人間は、総統の座でともかく責任を引き受けている人物──つまり総統本人だ。もう一つの可能性。それは、総統を選んだ人々や罷免しなかった人々にこそ、責任があると考えることだ。非凡な人物を総統に選び、彼を信じて祖国の運命を任せると言う選択をしたのは、どこにでもいる市井の人々だったのだ。クレマイヤー嬢、それとも君は、選挙そのものを否定するのか?(29章より)」

自分に賛同して選出した人々に対する責任があるからこそ、最初に掲げた政策はおいそれと変えられない、という信念もあったでしょうか。結局ヒトラーを世に放ったのは、多くの普通の、一般国民なわけです。それがあるからこそ、ドイツでは「我が闘争」を発禁にし、ヒトラー礼賛を法律で禁じなければならないのでしょうか。

来年一杯で「我が闘争」の版権が切れるそうですが、ドイツでは引き続き発禁のようです。それが人々の健やかな思想の成長に対して良いことなのか悪いことなのか……?

呑んだ! 食べた!

仕事帰りにそのままプール行って、1時間スクール、1時間ほぼ休み無しで泳ぎ続けて計2時間。しっかりお腹空かせてご飯行きました。

期間限定合鴨つくねの黒トリュフソースが死ぬほど美味しかった! 添えてあるマッシュポテトもよくローストビーフに添えてあるようなのと少し違って、若干チーズの味がしたような。家で作れたらいいのになあ。ソースは絶品で、パンできっちり!拭いました。

プレゼントは欲しい物を聞かれても今ないので、ちょっと保留にしてもらった……。さすがに密林ギフト券! とかは言い辛くて。←こういうのが一番助かるというか、嬉しいんですけどね……。一回そうしてもらったんだけど、ちまちまCD買ったり本買ったりするので、今イチ思い出に残らなかったです。

 

返信不要でコメント下さった方。

ありがとうございます!もう誕生日が嬉しい歳ではないはずなんですが、私やっぱりそう言ってもらうと嬉しいみたいです。

Voice更新

MLMのIFも少しずつ修正してるんですが、これ、連作の方へ移すべきかな。短編とかリクエストのところとかに散らかっててわかり辛かったりします?

アイアンクラッド

二年か三年前の映画なんですが、観たいなと思いつつ忘れていたのを「ハマー・オブ・ゴッド」か「キャプテン・フィリップス」の予告にその続編の映像が入ってるのを観て思い出し、今日返却ついでに借りて来ました。

意に反して強制的にマグナ・カルタに署名させられたジョン王(欠地王とか失地王とか言われてるあのヒト)は質の良くない傭兵を連れ歩いて、王権を回復しようと各地で大暴れして、ロンドンに迫る。それを押しとどめられる最後の砦、ロチェスター城に、迷えるテンプル騎士トーマス含む僅かな手勢をかき集めて反乱軍を結成したオルバニー卿が篭城し、フランスからの援軍が来るまで持ちこたえようと(もちろんジョンを倒してやると言う気炎はあげていた)戦うのですが……。

なんと20人対1,000人。

仲間に弓の達人がいるので、戦闘開始の最初のやりとりのとき、「ここでジョンを射っちゃえよ!!」と当然思うのですが、これは一応史実に沿った映画なので……(´・ω・`)

投石機、火矢、梯子で攻めて来る敵に対し、煮えたぎった油を上からぶっかけたりと、中世の篭城戦をかなりリアルに再現していたと思います。際立った軍師がいて奇策を立ててくれるわけでもなし、元十字軍騎士の主人公が戦国BASARAの武将並みの鬼神なわけでなし、白兵戦の表現はものすごく派手だけど(つまりちょっとリアルと言うか……苦手な人はグロいと思うかも)、とても地味です。雨が降り、雪の降る季節になって、ジョン王は主人公たちが弱るのを待ち、篭城兵士たちは餓えて乾き、ついには馬までが食料になってしまう。騎士である主人公の馬だけは殺してはならないという騎士の誓いのもとにトーマスが守り抜いたのですが。

オルバニー卿が集めた味方というのは、戦闘では頼りになるものの一癖も二癖もある、でもどこか憎めない連中なのですが、あるときは何気なく、またあるときは劇的に一人一人命を落として行き、援軍はなかなか来ず(別場面でそれらしい話をしている場面は出るんですが、こちらは状況を知っているだけにまだるっこしくて! 「(彼らが持ちこたえることを)神に祈ろう」とか言ってたってこちとら信念ある無神論者ですので「ああああ!!」って髪をかきむしりたくなりました)

主人公トーマスも確かに仲間内では抜きん出て強いのですが、どんだけ劣勢になっても戦っていられたLoRのアラゴルンなどとは違い結構気絶しちゃって、仲間が命を落としながら死にものぐるいで戦ってるのに参戦してなかったりと、なにげに「イラ……」とさせられるのですが、こういうとこもファンタジー映画ではなく史実を再現した歴史映画のリアルさなんでしょうね。城門が破られ、城主の奥方までが武器を取って戦う……というか逃れようとする姿が、ものすごく切羽詰まった感を醸し出していました。

トーマスはフランスから援軍が来るなどとははなから思っていないようだし、戦いに倦んでいる、その辺にも全く語られない彼がテンプル騎士団を離れた理由が凝縮されている感じで、ぺらぺら過去の話をされるより、十字軍が聖地奪還を旗印に現地で行った悪逆非道が胸に迫ります。

オルバニー卿が人質に取られ、「決して降伏するな!」叫びながら腕を切り落とされてゆくシーン(史実です)、トーマスは卿を慕う従者ガイに「見るな」と言うのですが、序盤は人を殺したこともなく、ぼっちゃんぼっちゃんした感じだったガイが「(あなたを助けるためでも)決して降伏しない!」と死に行くオルバニー卿に叫び、血走った眼を見開いて卿が手足を切り落とされ、投石機で壁に叩き付けられるところをじっと見ていたのが印象的でした。当時は、こういう形で「男」になっていく少年や青年も珍しくなかったはずですが、こういうシーンを見るのが私は一番辛い。オルバニー卿は安心して逝ったかもしれないと思うけど。

ぎりぎりで援軍が来て、ジョン王は撤退を余儀なくされるのですが、生き残りはなんと城主の奥方含め三人。ほとんど全滅に近いですが、ガイは援軍を見据えて「勝った……」と呟きます。確かに。犠牲は大きかったですが、篭城戦は撤退させた方が勝利者です。爽快感はないですけれども。「英雄だ」と言うガイに「死んだ者にこそ生きる価値があった」とか言う感じのことを呟くトーマスは、十字軍に続いてこの戦いでも生き残ってしまったことに罪悪感を抱きながらも、どこかそれが神に下された自分の運命だと受け入れたようにも思えました。

画面は薄暗く、登場人物たちは薄汚く、着ている物に蚤やシラミがたかってそうな、そしてまるで臭ってきそうな感じすらします。天気は終始悪く、イングランドだから、というだけではなく、あの時代の先行きの不透明な不安感を否が応でもなく煽っていました。ほんとに地味〜な映画なのですが、素晴らしかったです。流血描写に馴染みがない方以外には全力でおすすめできる!!

個人的にはあの最悪な王の惨めな死に様とかもちょっと見たかったんですが……。画面からは史実通りどこぞで苦しみ(赤痢で)、孤独に死んだ感がありましたが、オルバニー卿よりも悲惨な殺され方とかしてキーキー悲鳴を上げてるのみてすっきりしたかったです。イングランドではこの王の名があまりに悪名高いため、王の名に「ジョン」は付けないという噂がありますけど、ほんと納得のいくクソッタレっぷりでした。「こういう風な男になったのにはこのような理由が」的な描写もちょびっとはあったけど、ぜんっぜん同情出来ず「あっそ。ふうん」で流しちゃったほど!

一点だけ、リアルじゃないほうが良かったのにと思う点について。

これは完全に私の好みなんですけれども……。中年の童貞(トーマス)食いの城主の奥方が、ほんと「満たされない奥方」って感じの女優さんで(失礼)なんか変にリアルというか、生々しいというか。女兄弟どころか母親とのキスさえ許されない貞潔の誓いに縛られた騎士を迷わせ、誓いを捨てさせるのだからなんというか、もっとこう……神々しい感じの人っぽい生々しさがあんまり感じられない美女のほうが良かったなあ。まあ、そんな美女と最後二人で暮らしてくって考えたら、現実味がないんだけど。トーマスは貧乏に当然慣れてるだろうけど、映画の奥方はそんな生活にも逞しく順応しそうな感じの女性ではありました。

……って、テンプル騎士団テンプル騎士団って書いてて、アーンを観るの忘れてたことも思い出しました。ブラッドウォーと一緒に今度借りて来よう。

闘犬25〜27再アップ

しておきました。

なにかと忙しくて、なかなか小説に手がつけられていません。Voiceの修正ちょこちょこやってますので、次の更新はこれかな? 書いてから随分経ってるので、前後の文章を入れ替えたり表現を変えたりがかなり必要みたいです。

戦果!

農大の収穫祭に行ってきました。

友人の息子がそこの二年生で、去年も行こうよって誘ってくれたのですが、その時は色々用事があって。前からテレビなど見て行ってみたいなーとは思ってたので、今年はお誘いに二つ返事で乗りました。

蜂蜜とベーコンは欲しかったので、早めに出ることにして4時半に起き、7時に駅で待ち合わせです。2人とも10分前行動派なのできっちり6時50分に出会い、8時ちょっと前には到着。私は蜂蜜の列へ並び、友人はベーコンへ。ベーコンはお一人様一つ、一家族で二つまでなのですが、ハムとかソーセージが売り切れちゃうらしいので、結局二回は並ばなきゃならなかったのです。

戦果はこんな。

senka.jpg

蜂蜜の希望はリンゴ2.5合、そば、山桜各1合だったのですが、順番が来る前にリンゴ2.5合は売り切れてしまい(T△T) なら山桜2.5合、そば、リンゴ各1合、と希望変更するも山桜も売り切れてしまい。あれこれ考慮したあげく、山桜、ミカン、リンゴ各1合づつと相成りました。緑と黄色のリボンのは蜜蝋です。ファンタジーや、中世が舞台の小説とかで、普段は獣脂の蝋燭を使うけど、お祭りやお祝いの時に贅沢な(値段が高い)蜜蝋を用意するとかってあるので気になってたのです。

お昼は中国人の留学生さん?たちの小龍包と焼売食べました。小龍包はスープが入ってないけどすっごく美味しかった! 友人がおやつ用のマフィンやパイに並んでる間、私はベーコンの列へ。一時間半待ちだったけど、並んだ! 念願のブロックベーコン買えました〜heart01 ハム類は二種類を二つずつ買ってもらってたんですが、帰って来てからピスタチオ入りの方開けました。美味しいです。陶器類も生徒さんが作ったものなので「気に入った!」で悩まず買ってしまいました。大皿一枚に、同じ生徒さんの小皿二枚。ただでさえ安いのに、セットでのお買い上げなので、ってさらにお安くして下さいました。

味噌は売り切れるのも早かったので、早めに並んで良かったです。一番欲しかったのは待ってる間に売り切れたけど。

とにかく重かった〜><

3時からは吹奏楽聞いて、チア見て応援団の出し物最後までみて(とりあえず今年全部見たから、来年はすっとばせる)帰りました。疲れたけど面白かった。帰りに渋谷寄って芙蓉鎮借りて来ようと思ってたけど、もうほんのちょっとの距離が面倒になってしまって、まっすぐ帰ってきちゃいました。

友人は「来年は厚木の方に行ってみようよ〜」すでにわくわくしている様子。ご主人は並ぶの嫌だし、他のお子たちは兄の大学のお祭りなんか来たがらないらしく、一人だと行く気にならないらしい。うん、全然付き合うの苦じゃない。

こういう行事は冷めてる子は冷めてるみたいだけど、友人の息子は寝袋持ち込んで大学に泊まり込むほど熱心に走り回ってて、結局今日は会えませんでした。「髭そってねーし、昨日風呂入ってないから」って逃げられた(笑)小学生の頃から「植物学者になる!」って言って初志貫徹突き進んでる子なんだけど、「この子やっぱ変わってる」とか思いつつもこういう子がいる限りまだまだ日本の未来は大丈夫な気がする今日この頃です。

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料理、読んだ本、見た映画、日々のあれこれにお礼の言葉。時々パラレルSSを投下したりも。

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