Arn 鋼の騎士団
200分近くあり長いので、ディスクが2つに分かれてました。
スウェーデンがまだ統一国家ではなかった12世紀半ば。母の誓いによって、幼いアーンは修道院へ預けられることに。そこには武術に秀でた元テンプル騎士がおり、アーンが熱心に稽古の様子を見ているのを見て、弓や剣、馬術を教えてくれるようになる。
成長したアーンは尼僧院で歌を歌っていたセシリアと恋に落ち、結婚を誓うのだが、姉が結婚すれば、自分はそのぶん持参金不足で修道院で足どめを食うと、それを嫌ったセシリアの妹によって二人は陥れられ、罪を償うためにセシリアは尼僧院へ、アーンはテンプル騎士団へと、20年の別離を余儀なくされる。
セシリアは尼僧院で産み落とした息子を奪われ、アーンは彼女の知らないうちに十字軍騎士として、エルサレムへ向かい、聖地奪還の戦いに身を投じる……。
というようなお話。
このころの映画や小説は結構ありますが、第三回十字軍を破って100年ぶりにエルサレムを奪還し、あの獅子心王リチャードの猛攻を耐え抜き、200年に及ぶ十字軍の戦いに終止符を打ったサラディン、やっぱり人気がありますのでたいがいイケメンになってますね。っていうか、イケメンにしないと許されない雰囲気ありますよね。(人格者で知られ、当時はヨーロッパでも人気があったし、十字軍にすら彼を尊敬する者は多かった)arnでもやっぱりイケメンでした。
長くエルサレムにいたせいで現地の言葉はネイティブ並み、そしてそのサラディンに出会ったことによって、アーンはイスラム教徒を鏖殺することしか頭にない血に餓えた十字軍兵士とは違う成長を遂げたようです。それが結果的に、テンプル騎士全滅と言われた敗戦で、アーンの命を救うのですが。
このころ、十字軍はイスラム教徒の捕虜を皆殺しにしてましたが、サラディンや彼の弟は殺さず解放していました。十字軍の女子供を含め武器を持たない人々に対する横暴は知れば知るほど当時の某宗教への嫌悪感を感じさせ、ほんとに腹立たしいほどなのですが、中でもベドウィンの人々(非戦闘員)を護ろうとするアーンを罵る騎士の姿には、こういう無知蒙昧さがあの時代普通であったとかそういうのわかってても苛々させられました。テンプル騎士が(というか騎士が)どれだけ馬を大切にしていたか後世まで伝わるほどだというのに、言うに事欠いてその騎士が、タイマンに負けた!腹いせに!アーンの馬を刺殺するシーンは怒りが沸くというより気持ち悪かった。アーンに瞬殺されざまあだったのですが、私としてはこういう騎士どころか男の風上にも置けないようなチ○カス、チソコもいで女の集団で囲んで指差して笑ってやりたい。
また最初の指揮官が、アーンとは最初から折り合いが悪かったやつに替わってからも苛々は続きます。無能なやつほど自信満々で部下の進言を聞かないし、伝家の宝刀「私の命令に黙って従ってればいいんだ!」をこいつも過たず抜きました。いやだから、君の言うことに黙って従ってたら死んじゃうから意見するんだってば。こいつも結局ざまあな最後なのですが、こういうシチュエーション見るたびにいつも思うんです、死ぬまでの短い間でいいから、周囲の兵は冷たーい目を向けて口々に「無能!」と罵ってくれないかな、と。
後半はセシリアと無事再会し、森の中で彼について来た人々とともに小さな集落を作って平穏に暮らしているのですが、幼なじみであり、王座奪還に手を貸してやった王が亡くなってから、否応無く再び戦いに巻き込まれていきます。戦のいの字も知らないような新王は兵力に勝っているせいでアーンたちを哀れむように見下してるのですが、長い間激戦をくぐり抜けてきたテンプル騎士の生き残りになぜ必勝だと思っていたのだか。この王様、命だけは繋がりましたが、大勢の自軍兵士の前で「二度と来んな」と蹴飛ばされて、這々の体で去って行った姿にすっきりと溜飲が下がりました。
白兵戦は当時の剣の特性を生かし、ひたすら「突く!」って感じでリアル感ありましたし、実際の戦闘の場でやると隙になるんでしょうが、両効きのアーンが空中で一回転させて反対の手に移したり、右に左に剣を持ち替えて戦ってるのはカッコ良かった。私はサラディンのファンなのですけれども(笑)