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2013年05月27日

和製のロマンスもの

……というレーベルはないように思うので、そうカテゴライズしてもいいだろうな、という作家さんとしては原田康子先生が真っ先に──というか唯一上がりました。母の本棚に数冊あったので、小学生のころから何度も読み返しています。今でも「満月」「日曜日の白い雲」「風の砦」(主人公ではなく、主人公の親友とアイヌの娘のロマンスに私的焦点を当てています)「サビタの記憶」だけは別に買い直して手元に置いてあります。

多分「海霧」以外は全部読んでると思います。「海霧」は以前一度図書館で借りたんですけど、忙しさにかまけて読めずに返してそれきりです。ロマンス小説熱が醒めたらまた借りようかなと思ってるんですが、頭を使わないでいい文章に慣れた今勢いよく読めるかどうか^^;

「満月」は大昔映画にもなったので(観てないけど)知ってる方もいらっしゃるかも知れませんが、私の一番のお気に入りは「風の砦」かな。主人公には妻がいるのですが、妻は実は夫の親友が好きなのです。その親友、というのがまたいい男でですね。同人を知った後で読んでいたら、親友×主人公になっていたかもしれませんが、当時は純粋でしたので、その親友とアイヌのツンツン娘に非常に萌えたものです。

他にはこれは、というものがちょっと出ないのですが、実はマンガなら出ます。

おそらく、ほとんどの方がご存じないのではと思いますが、宝塚で舞台化されたようなので、そちらのファンの方は知ってらっしゃるかもしれません。「風のゆくえ」という粕谷紀子先生のお描きになったヒストリカルです。高校生のときヅカファンの友達に借りました。文庫サイズの「風のゆくえ」、コミックサイズの「風のゆくえ・再会編」の二冊でしたが、両者の絵柄がずいぶん違いますので(前の方が好きだった!)、描かれた間が空いてたのかも。私と母がそれに惚れ込んで購入に至ったときには、B6サイズで一冊にまとまってたので、それを買いました。むろん今でも持っています、私がw

舞台は中世北イタリア。ヒロインのクラリーチェは、とある領主の妾の娘ですが、母が亡くなり、尼僧院で暮らしています。そこで暮らすほとんどの娘はいろんな事情で男性(父だの叔父だの兄弟だの、男性の庇護のない女性は生きにくかった)の庇護を失った娘たちですが、ヒロインはただただ父の訪れを待つだけだった母のようにはなりたくないと、自分で自分の道を切り拓くと、ある日尼僧院を出奔します。でもその途中で攫われて(実は攫ったヒーローはヒロインの実家との取り決めでヒロインを嫁にすることが決まっていたので、全く結婚に乗り気でないまま尼僧院へ迎えに行ったのですが、逃げちゃってたので後を追った。必死で走るヒロインを馬上から掬い上げて連れ去りました)無理矢理嫁にされ、衆人環視の中で(時代的に……><)無理矢理処女を奪われます。

とは言っても、そこは全然生々しくなく、抵抗の力及ばず陵辱されるという場面は、抵抗したのに馬上に掬われたあの夜の記憶で表現されるという、マンガでしかできない素晴らしい手法で表現されました。昔の少女マンガは厳しかっただろうし。

なんだかんだ事件を経て結局は両思いになり、ヒーロー・ヴィットリオの激しい愛し方に幸せを感じたりもするんですが、ふっと、これじゃ母のように夫を待つだけの女では……? と思い、城を出て行くのです。ヒーローはヒロインを深く愛しているので、無理に閉じ込めても翼を折るようなものだと黙って出て行かせるのですが、いや、結構束縛系のヒーローなのでよく決断したな! と感心ました、ほんとに。これが愛の力なのねheart04と。ここまでが前半です。

後半に関しては、ほとんど別人のように絵柄が変わっていまして、ほんというとそんなに好きな絵柄ではなくなりましたが;; それでも真のハッピーエンドを迎えるころには多分気にならなくなってました。

領主夫人を一時的に辞めて城出したヒロインは、つくろいものと刺繍でたくましくご飯食べていました。(にょたルクの裁縫設定はここから来ています)正直ヒーローいなくても自分の力で生活できるのですが、そうなればなるほどヒーローが恋しくなるという矛盾。そんな中、頑張って妻に自由を与えた本当は束縛系のヒーローはどうしていたか……あはは! ま、彼は彼で頑張ってましたhappy02

当時の事情を思いますと、男女どちらにも「男女双方、対等である」という感覚がないわけで、待つ女である母を反面教師にしたとはいえクラリーチェのように自立を熱望する感性の方が当時としては革新的なんですよね。一般庶民よりも男性優位主義の強い社会で生まれ育ったヴィットリオがそれを理解し、受け入れるだけでなく、妻がそのように自由な精神の女性であることに、またそのような女性に自分も選ばれ、愛されると言うことに、喜びとある種の誇らしさを感じるようになっていくその過程がすごくいいんです。

素晴らしいお話で、全力でおすすめしたいのですが、密林で見てももう気軽におすすめできるお値段じゃなくなってて>< 非常に残念です。ああ、これぞハーレクインだな、というのを、ハーレクインを知らない方に最も良い形で教えてくれるマンガだと思うので、どこかで定価に近いお値段で発見されましたら絶対買いだと言っておきますっ!

これに限らず、昔の少女マンガはハーレクイン、ロマンス小説に近い物がけっこうありましたね。「伯爵令嬢」とか。「ヨコハマ物語」とか。(甲斐男爵×まり子の方が好き)

 

レス不要でメールを下さったあなた様へ一言だけ。

初めまして、メール下さってありがとうございます! 紹介したものをそのように実際に手に取っていただけるとすごく嬉しいです。お気に召すといいのですが。

嬉しかったので、また紹介してみました^^

拍手の方は、拍手できる回数が10回と決まっているので、最後まで押しちゃうと読み返しができないという事実がご指摘により発覚したので、急遽拍手回数に余裕を作るため無修正のままサイトの方に収容してそれきりなんですよね>< いい加減書き直して収容し、他のものを置くべきなんですけど……。まだ心の余裕と読み返す度胸がないので>< 続きを読みたければ拍手してねというのもなんかいやらしい気がして、拍手の方に前のがサイトの方にあるよって書いておけばいいかと思ったのです。そうですね、これに関しては現状このままでいこうと思います。すみません。本当はお礼ページを更新したよという履歴にも載せたくないなと思ってるんです。どのような形でも拍手ボタンを押していただくことを強制したくないので……。ぽちって押すことで「来たよ」「読んだよ」「頑張れよ」と励まして下さる方が、そのとき気付いて下さればいいかなーと。

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