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セデック・バレ

前から観たいなと思っていたんですが、全編観ると4時間半にもなるのでなかなか手をつけられませんでした。

でも観始めると夢中になり、一気に観てしまったので、いつ手を付けてもきっと大丈夫だったんだと思います。
それほどすごい映画でした。マイベスト10に食い込んだと思います。(何が滑り落ちたんだろ)

1895年から50年間続いた台湾の日本統治時代。虐げられ、苦しい生活を強いられていた台湾の原住民セデック族の男たち300人が、数千人の日本軍、警察官を相手に武装蜂起した「霧社事件」を描いたものです。

勝利者、或は強者が、敗者、或は弱者を支配し、統治する。そういう時代はいつでも、どこでもあったことですし、現在進行形の所ももちろんあるわけですが、相手が人であることを忘れず、きちんと良識と敬意を持って接していれば、避けられた戦いもたくさんあったんでしょうね。

セデック族は首狩り族ですので、戦闘では大いに首が狩られます。ラストオブモヒカンの頭の皮剥ぎは柔らかな表現に変えてあったけど、これでは容赦なく狩ってます。でもどうしても駄目だという方以外には出来るだけ観ていただきたいなあと思うので、詳しい話は避けますが、映像も音楽も、そしてストーリーも素晴らしかったです。(狩りの獲物とか、象徴的に登場する小鳥、滑走路などがはっきりCGと分かってしまい、一瞬素に戻されることはありました)

一部の方では、ダンスウィズウルヴズやラストオブモヒカンをやはり思い出しました。こんなにかっこいい生き様の部族が台湾に存在することなど、この映画を知るまで知りませんでした。

日本にも多いに非がありますが、この映画のすごい所は必要以上に物事を美化していない所です。剣の形も相まって、「グルカ兵かよ」(グルカ兵 最強 などでぐぐると信じがたい伝説の数々が)と思ってしまうほど戦闘能力の高い人々なのですが、武装蜂起した時に、女、子どもも皆殺しにしていますし、決してただの善人、弱者としては描かれていません。この蜂起は女性たちには内緒で計画されたのですが、その惨い現場にいたセデックの女性は「なぜこんなことを」と慟哭します。

戦争とは、民族の争いとはこういうものだと、淡々と見せてくれた映画です。

散々彼らを脳みその無い野蛮人のように罵ってたおっさん(日本軍の偉い人)が、彼らの戦いぶり、死に様に「侍」の姿を見るのですが、誇りを護るために戦って死にたい、投降するぐらいなら死を選ぶという潔い彼らの精神をやはり一番理解出来るのは我々日本人のような気がします。仲良く出来たなら、この上ない友になれたと思うのですが。

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