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パラレルAL 11話

バニシングツインの22話にちょっと有り得ないミス発見!
23話分もずいぶん前から書いてあったのに、全く気付かないってどういう……

しかもごそっと書き直さないと駄目っぽい。
いつもやってしまってることですが、バニシングツインはそういうのが多すぎると思いました。多分、ざっと書いたものに後から後から付け加えていった結果つじつまが合わなくなる部分が出てしまうのだろうと思いますが、ここから先はちょこちょこ加筆修正するだけで大丈夫なはずだったのにな。

すぐには直す暇もないんですけど、自虐的に晒してしまいます……! みんなアホな私を笑い者にするがいいわ……><

朝早くに狩猟小屋を出て二時間弱(下り)歩き、まだ午前中に仲間たちとアッシュに会って話をし、すぐに別れて二時間強(上り)、なんで『月明かり』なのか誰か教えて下さい。
翌朝にはべルケンドに行って、色々検査を受ける予定のはずですが、数時間かけていちゃいちゃしたあとアッシュが「まだ半日は寝ていられる」というようなことをふつーに言ってます、よ……?

あーもう私のバッカバッカ

以下、パラレル続きです〜
もうすでに、映画パロとは言えない別物に成り果てています、Hさん><

「……お前までかついできやがったか。焦る歳でもツラでもねえだろうに」
「……男をかつぐほど困ってねえよ」
「なに、男? ……そのツラでか? 男がなんで髪を伸ばしてる」

 どうやらアッシュの顔見知りらしい一軒の鍛冶屋で、数本の剣を試しに振ってみたあと、ルークは長さ、重さが愛剣に似たカトラスを選んでアッシュに差し出した。庶民の身には分不相応な品質の剣だったが、どうせ支払いは暗殺者から追いはいだ財布なのだから、アッシュの思い切りはいい。
「……キムラスカ兵に武器を持たせんのか、アッシュ」
 鍛冶屋に渋い顔でそう聞かれ、街道を通り町中を行くならこの格好ではまずい事に気付いた。手を縛って行くならこれで問題ないのだが……。
「ちょいと訳ありでね、こいつは兵じゃねえんだ」
「なら着替えさせろ。ダアトは今連戦戦勝で反キムラスカ感情はそこまで強くねえが、その格好で武器を持って歩くのはうまくねえ」
 鍛冶屋が息子の小さなころのだと出してくれた服に礼を言って着替え、ルークは以前そうしていたように、背に真一文字にそれを佩くと、あからさまにほっとした顔をした。剣士にしてみれば、いわば魂とも言える剣を手放したほとんど丸腰の状態はさぞ心細かっただろう。アッシュにもそんな気持ちはわかるから、ルークの表情の変化を目の当たりにして、我がことのように嬉しかった。
 鍛冶屋を出ると、二人で欲しいもの、必要なものをつき合わせ、二、三買い足していく。他国の、しかも山間の集落とは明らかに違う規模の街を初めて目にするルークの瞳は、父の死や、弟に命を狙われているのを知ってから初めてといっていいほど輝いていて、再びアッシュを複雑な気分に陥らせた。
 ルークが他国からきた単なる旅行者だったなら。身分の低い、貧しい人々を見下した様子もなく、見るもの聞くものすべてに喜んでいる少年を連れてダアト中、いや、世界中だって回って見せたのに……。街で様々なうわさ話に耳を澄ませてみたが、耳にするのは明るい戦勝のニュースだけ。キムラスカ本国の現在の様子など、こんな下々のところにまで流れてくるはずがなかった。二人の横を通り過ぎていく人々の一体誰が気付くだろう。ここにいる少年が次のキムラスカ国王、その人だということを。

「なあアッシュ。あそこでみんなが食べているのは何?」
 腕を引かれて我に返り、ルークが示す方角を見ると、一軒の食堂が目に入り、ああ、と表情を和らげる。
「家畜や家禽の内臓だけ食わせる店だ。タダ同然の食材だから安くて、俺たちのような貧乏人には懐に優しい。うまくて栄養価も高いし、量もたっぷり盛ってくれるしな」
 ちょうど昼時で、店内に入りきらない客のためにテーブルや椅子が外に並べてある。そこに、一旦仕事の手を止めた職人や商家の下働き、農夫などが大勢座って、エールやラガーを引っかけながらうまそうに料理をつついていた。
「内臓……」ルークがぶるりと身を震わせ、アッシュにさりげなく擦り寄った。「……うまいの?」
 山中で獲ったウサギや鳥の内臓は、臭みを除いて調理するスキルがアッシュにないので捨ててしまった。野生のウサギは毒草を食べていることも多くて人には危険な場合もある。
「……食ってみるか?」
 問うとぶるぶると首を横に振る。だが気にはなるらしく、目を離せないでいる様子がおかしい。
「蛇が食えるなら平気だ。ここで食っとかねえと、王子様には一生縁のねえ食いもんだろう。行こう」
 手を引くとやはり興味があったのか、思いのほかおとなしく付いてきた。空いた席に座り、給仕の娘を呼ぶと、メニューのわからないルークのためにとりあえず看板料理を注文する。それがさまになっているというか、慣れた様子のアッシュに、ルークはきらきらと尊敬の眼差しを向けた。
 注文を受けた娘が軽やかに身を翻し、店内に駆け戻っていくと、ルークは周囲に大勢いる男たちが飲み食いしているものをこわごわと眺めた。だが誰もがうまそうに食べているのを見て、恐ろしさよりも好奇心の方が勝ったらしい。実際に運ばれてきた豆や野菜とごたごた煮込んだものをまじまじ眺めると、色が濃く、強い香辛料の香りが食欲をそそった。恐る恐るスプーンですくってみたものは、元の形が想像出来ないくらいの大きさに切られている。
「多分、お前が想像してたほどグロテスクじゃねえだろ」
「うん」
 さっさと食べ始めたアッシュをちらりと窺い、目を固く閉じて思い切ったようにスプーンを口に入れたルークは、アッシュがさりげなく見守る前で目をまんまるに見開き、すぐに次の分をすくった。
 ルークは心底びっくりしていた。なんて複雑な旨味と深みのある料理なんだろう。塩と胡椒と、たまに摘んだ香草くらいしか味付けの素がなかったとはいえ、アッシュが「俺の料理は大味」だと言うわけがわかった。
 おそらくこれが『内臓』なのだろうと思うものもおいしかった。噛むとくにゅくにゅして、脂肪っぽいのに脂身ではない。香辛料の効いたすこしねっとりしたスープがよく絡み、一つを食べるとすぐ次のかけらをすくってしまう。
「……ずるい」
 ものも言わずに食べ続け、ルークは呆然と呟いた。あまりのおいしさに、思わず品なくがっついたような気がしてならない。だが、アッシュも周囲の人々も似たようなものなので、きっとそういう力のある食べ物なのだろう。
「えっ」
「ずるい。ずるいよ……! 下の人たちって、こんなおいしいものをいつも食べてるのか? 自分たちが一番おいしいとこを取って、上には残りを卸してるんだろ……!」
「馬鹿か。昔は捨ててたところだぞ」アッシュはその言い草に思わず笑ってしまった。「ンなわけねえだろ、お前が自分ちで食ってた肉が一番うまいところじゃねえのか」
「そんなことない! おれ、こんなおいしいもの、初めて食べたもん……!」
 ルークはどこかうっとりした様子でそういうと、「アッシュ、おれ、あれも食べてみたい! あそこの──青い服の人の……!」
 瞳を輝かせたこのおねだりを突っぱねられるやつはまずいないだろうとアッシュは苦笑する。
「こういう所では、残すのは厳禁だ。食べられるなら好きなだけ頼むといい」暗殺者のおかげで懐は暖かいのだ。
 するとルークはぱっと顔を輝かせ、手をぶんぶん振って給仕の娘を呼んだ。
「すみませーん!」
 跳ねるように飛んできた娘に「あそこの人が食べてるやつと……」と意外にうまいこと注文をしている。最初は大声で娘を呼びつける他の人々にも驚いたようすだったのに。順応力が高いとも言えるが、その姿は周囲の人々に違和感なく溶け込み、隣国の国王のようには全く見えなかった。

 ──かわいい、と思った。

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料理、読んだ本、見た映画、日々のあれこれにお礼の言葉。時々パラレルSSを投下したりも。

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