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2012年01月10日

幸せを運ぶ求婚者

読み終わりました。以前読んだ「誇り高き愛人」のヒーローの双子の弟が今度のヒーローになります。
ヒロインが秘密を抱えたまま(読者にも明かされない)物語りが進行するのですが、これが思ったより重たいお話で、前作とは趣がだいぶ違いました。やはり女同士、ヒロインに感情移入してしまうので、かなり辛かったです。ヒロインのシーアがかなり強い人なのと、ヒーローのリチャードに会話のセンスがあるのとで、ところどころでちょっと息抜き出来るのですが、ほんのちょっぴりです。でもその分読み応えがありました。

リチャードを愛してるんだけど、『秘密』ゆえに受けられないシーアの苦しみはキツイです。前作ヒロインヴェリティの『秘密』も重いなあと思ったけれど、その葛藤が今回かなりリアルで、読んでいる方は「別にあなたは何にも悪くないよ、普通、そう思うって! 私だって同じ状況になったらそう思うって!」と言ってあげたくなることが山ほどあるんですが、その苦しみの中で出した彼女の最後の選択は、女性からみると賞賛に値します。なかなかこの選択は出来ないのではないかと思いました。なので最後のあたりでその選択を受け入れられないリチャードに「えーっ……」って一瞬は興ざめもするんですが(ま、物語はともかく現実はこうだよね、みたいな)、そこはやはりハーレクイン、真打ち登場! といった再登場が憎たらしいくらいに決まっていて、ほっとしました。

前作でボロクソに貶したマックスですが、ヴェリティといちゃいちゃしてるだけと思いきや、最後の最後、弟の背を押してやる……と言っても、リチャードはもう心を決めていたと思うので、弟の選択に肯定の意を示しただけなのですが「あんた、男前だよ!!」という素晴らしいお兄ちゃんっぷりを見せ、森川の好感度を一気にMAXまで上げましたheart

最後の十数ページはちょっと涙がにじみました。

今回の方も訳が綺麗で、途中で興ざめさせられることもなくって良かった。古いミステリ小説を読んだ(推理小説という意味ではなく)という感覚の方が、ハーレクイン小説を読んだ、というより強いかな。しみじみと良作を読んだと言う感じです。

前から思っていたことですが、昔の人のものの考え方ってほんとに性に合わないです。和洋どちらの古典文学も好きになれないのはそれがあるからなんですよね。(その時代にはその時代の考え方があり、登場人物はそれに従っているだけだということは理解していてもです)今回は特に舞台が海外ですし、余計に強く思いました。小説は所詮現代人が書いているんだし、本当のこの頃(十九世紀くらいかな)はもっと理解し難い考え方が横行してたのかなと思うと、つくづく現代人で良かったと思います。
──まあ、あの時代に生まれていたら、それが当たり前の感覚なので全く気にならなかったんでしょうけども。
自分の母乳で赤ん坊を育てているヴェリティに驚愕する伯母さんに驚愕です。

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