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守護天使に恋して

原題The Guardian(このままの方がいいのに……)

ブックオフでBL文庫の背表紙眺めてて(物色、というか好きな作家さんの未読のがあったら買って行こうって感じなので、知らないものは基本買わないです。もうあんまり増やせないし)作家名が明らかに外国名だったので引き抜いてあらすじ読んでみました。昨年my神が翻訳家デビューされる、という日記を書いたんですが、発売は2011年、結局頓挫したようですが、m/mの邦訳っていう試みは前からあったんですね。

表紙の絵師さんが昔から苦手な方なんですが、中には口絵もイラストも無いようだし、大好きなパラノーマルだったので(でもBLものなんて初めて!)速攻で買って、帰ったらすぐに読み始めてしまいました。

恋人を上司に寝取られ、職も失ったジュード青年は、職も決まらないまま鬱々と日々過ごしてるんですが、ある真夜中「何かに呼ばれた」ような気がして外に出て、三匹の犬に襲われて死にかけている大型犬を助けます。飼い主が見つかるまでというつもりで犬にジョーと名付け、一緒に暮らし始めるのですが、妙に彼にだけ懐き、守ろうとする犬に次第に情が湧いてきます。

実はこのジョー、異世界から三匹の犬……ではなくグリフォン(暗くてジュードにはワンコに見えた)に追われて『ベール』と呼ばれる境を通ってこちらの世界に来たオーエンという男。異世界では女男爵の『守護者』をつとめています。守護者と呼ばれるものはたいがい独り身です。恋愛が禁止されてるわけではなく、まともな女性は守護者を恋人にしたり結婚したりしたいと思わないようです。ごく普通に。なんというか、人間が犬を恋愛対象にしないみたいに、はなからアウトオブ眼中みたい。運命の相手である伴侶がどこかに一人だけいますが、巡り会える可能性はあまりに低く、ほとんどが彼等の性欲処理のために雇われた女の子たち(彼等は犬の姿で生まれてくるので、気性が犬に近いのか、絶倫すぎたり乱暴だったりするみたいで、性的には満足するけれども、なんだか犯されてるみたいで嫌だな、と思われてるみたいです。オーエンはまさに入れて出すだけの失礼な男だったみたいで、一番嫌がられてたみたいで、伴侶が出来たって聞いて女の子たちは大喜びだった。もちろんジュード君にそんな失礼なことはしていない)を相手に一生終えて行きます。って言っても戦いの日々は過酷なので、寿命を全う出来る守護者もあまりいないようですが。

ワンコに変化中のオーエンには、一目……一嗅ぎ? でジュードが自分の伴侶でありとわかり、それでジュードに近寄る男どもを蹴散らして守ってたんですね(自分のために)こちらの世界では犬の姿でしかいられないので、あっちに連れて行って伴侶にしたいと思うのですが……

以下、盛大にネタバレしてますので、ここまででちょっと読んでみようかって思った方は読まれない方がいいと思います。

つーかここまでも結構……^^;

ちょっとうーん……っていう文とか展開が多かったんですが、かなり面白く一気に読めました。あ、文は訳者さまのせいではなく、海外ロマンスのテンプレ台詞が私は苦手、ってだけの話です。例えば「ファックして」とか。日本語に直せと言われたら困る台詞の一つだと思うんですが、今回はこの言葉に対して「意味わかんないけどなんかいやらしい」とか「意味わかんないけど下品な台詞」とかいう突っ込みがはいるので、よっぽどぴったりくる日本語が無ければこのままでいくしかなかったと思います。

というのも、異世界人も普通に英語話してるから!(笑)

日本人が異世界トリップ書くとまず言葉の壁に突き当たるのですが、外国ものってないよね、言葉の壁。異世界人はどこでも英語話してる(笑)けどさすがにスラングは通じないようなので、前述のような突っ込みが入るのです。

最初にオーエンを追っていたグリフォンたちにまた追われるように『ベール』をくぐるんですけど、その直後の話が何度読んでも「?」 静かにしてろと何度もいうくせに、その場ですぐに致してしまうとかわけわかりません。そしてオーエンはめちゃくちゃ傲慢で感じ悪いのに、ほとんど「かっこいい……ポー」なノリで合意してしまうジュード君も「?」まあそれが運命の人というものなのかもしれないけど、海外ロマンスに多いこのノリだけはちょっと苦手です。

守護者というのはかなり大柄の偉丈夫のようで(180cm身長あるジュード君ですら「身長の差がありすぎてなにやらしづらい」らしい)ので、オーエンは明らかに2M越えのうえ、傲慢だし、偉そうなんですがどうやら守護者である自分に卑屈な思いがないわけではないようで、ところどころで妙にかわいいこと思ったり言ったりしちゃってます。絶対に自分のものにする! と鼻息荒くモノにしたものの、そのくせジュード君があまりにまっすぐに愛情を向けてくるのにひるんじゃったりもしているし。

伴侶に受け入れてもらって致したら、こちらの世界に戻ってもワンコ化しないでいられるようですし、一生独り身を覚悟してたところに降って湧いたように伴侶が見つかったので焦ってたのかもしれないけど。初めすごい感じ悪かったのが嘘みたいです。

ところで魔性のゲイであるところのジュード君。元祖魔性のゲイ小野さんも真っ青の魔性っぷりです。

かなりの美青年のようなんですが(180cm、筋肉質と自称してますが、腹筋も割れてるようですが、地の文、他人の感想では色白で華奢、ということみたいです)1mmの自覚もナッシング。浮気者の元カレが金髪のテンプレ美形だったため、彼に比べれば自分なんて平凡、と固く信じてます。もう、無自覚に、無自覚に周囲のメンズを引き寄せる男ホイホイ。もうオーエンは一生気をもみ続けるでしょう。でも超つくし型なんですよ! (オーエンのために)食事作ってーサプリメント揃えてー(←?)シャツにアイロンかけてーなんて想像して一人浸ったり。

あれやこれやの紆余曲折を経て、これ以上はないハッピーエンドなんですけど、ジュード君はカムアウトして、家族も自然なことと受け入れているのもあり、m/mではなく極普通の海外ロマンスみたいな、BLっぽくない終わり方を迎えました。ジュード君を女性にしたらほんとよくあるパラノーマルなんですが、この終わり方、かなり好きです、私。

ところで名前のせいかな、脳内ビジュアルがエクシリアのジュード君と陛下になってますよ〜><

明らかに本文を読んでないこの絵師さんはもう論外ですが(出来てなかった可能性もあるけど、主人公カプの容姿くらい確かめて描いて欲しい。ジュード君の魅力の一つに「巻き毛」があるのに巻き毛じゃないし!)きちんと体格良い男と華奢な男の描き分けが出来る絵師さんに頼んで欲しかったな、表紙だけとはいえ。せら先生とか……私がファンだってのもあるけど、ぴったりなのになあ。

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