「聖者〜」について皆様、そしてS様へ
- 2015/04/05 14:05
- Category:お知らせ・お詫び・修正報告
先日、こちらで公開していた「聖者と白いうさぎ」に次のようなご意見をいただきました。
■ルークが虐待されても親が好きという幼い子に似ている。
■恋愛関係なので、DV夫に怯えながらそれでも夫を愛する妻のようなものか。
■恋愛経験の少ない自分には狂気しか感じられない。
コピペするわけにはいかないのでそのままではありませんが、このようなご意見です。
ものすごいショックでした。心臓もばくばくするし、一晩一睡も出来ずにどこにそう思わせるものがあったのかと考え、仕事中も考え続け、同じように感じる方が言って来られないだけでおられるのではないか、怖い、と感じ、公開を停止しました。
その後個別に連絡を取りましたところ、このコメントは疑問文ではなかったものの「どうしてそこまでルークはアッシュを愛するのか」という答えを聞きたいがためのコメントであると伺いました。
この小説でアッシュがルークに振るう暴力はあくまで外的要因あってのことで(そのせいで本人の精神面も少なからず影響を及ぼしましたが)、現実に起っているモラハラ、DVとは一線を画しているものと私は思いますし(というか、言われるまで思いつきもしませんでした)、ルークもそう思っています。ルークは「アッシュ」と「魔物に取り憑かれた?アッシュ」を別人認定していますし、そのように表現したつもりです。私自身がルークの立場におかれたら、このような原因の場合、痛みと恐怖が愛情を凌駕して擦り切れてしまうまでは相手を愛すると思いますし、ルークもそのような人物として設定していました。
ですがご意見を下さったSさんは、自分はどのような理由があろうと、一度暴力を受ければ愛が冷める人間だろうから、今のままの文章ではルークがそれでもアッシュを好きなままでいる理由が全く理解出来ない、とのことでした。ルークはなぜそこまでアッシュが好きなのか、と。
そう言われてみれば、私はルークが物語の最初からアッシュに恋愛感情を抱いているという記述には気を配ってきましたが、そもそもなぜそこまでアッシュを好きになったのか、までは書いていません。おっしゃることに一理があると納得し、即興でその部分のあらすじを作り、こういう文があれば納得できるか問い合わせたところ、それがあれば理解出来るという返答をいただきました。
その部分をではどこに入れるかと考えましたが、今はまだ新しい文章が書ける状態ではなく、一話目からなんども読み返しました。その結果、私はその部分を挿入することはやはり不必要だと判断致しました。
12話の掲載期間は非常に短かったのですが、読まれた方はルークがアッシュからもらった懐中時計を憶えておいでだと思います。そのうさぎにまつわる話を聞いてルークはうさぎをアッシュのようだと思い、アッシュはルークがうさぎに似ていると感じる、それがこの小説のタイトルの由来でもあったのですが、それに加えてこれまで曖昧にしか語っていないアッシュの方のルークへの気持ちを書かなければと思うと、私自身の感性では「ルークがアッシュを決定的に愛するようになった理由」は畳み掛けるようでくどく感じるのです。
ですがSさんのように、現時点ではルークがひどい暴力を受けながらなおアッシュを愛する理由がわからず、狂気の愛だと感じる方もいらっしゃるでしょう。でも考えてみればプロの作家だって「この人の小説は全部好き」ということなど滅多にないのですから、私の書くものを全部理解して欲しい、好きになって欲しいと思うのはおこがましいし、もうやめにします。
もともとSさんと同じ感想をお持ちになっていらした方、結局のところまったくその印象が覆ることなくEDになると思います。どんなに他の小説を気に入って下さってたとしても、これはあなたには合わない小説なのでしょう。残りの部分は、これまでの印象を変えるものではなく、いわば答え合わせの部分です。書いている私と同じように感じて読んで下さった方に「やっぱりね」と思っていただくだけのものでしかありません。
もうあと数話ですし、続きが楽しみと感想まで下さった方には申し訳ないので、この小説は書き上がったらその方々だけに期間限定で公開することに致します。連絡先をこちらで把握している方もおられますが、その他感想を下さった方は最終話まで書けました時点でアナウンスを行いますのでお待ち下さい。
背景色のアンケートにお答えいただいた方の数から見ても、読んで下さった方の数≠感想を下さった方の数ということは承知しております。中にはもしかしたら感想までは送らないけど面白いと思って下さった方もおられるかもしれません。でも私には他の方は眉を顰めておられたのではないかと思えてならないんです。ひと言の愚かな発言から名前や自宅や家族構成、職場、学校まで突き止められる現代で、どこでどのように話が転がって児相やDV被害者自助グループなどの目に留まるかも知れません。怖いです。私はそのようなものではないと思っていますが、そのように感じる方がいらしたことは事実ですので、「そんなつもりではなかった」は何かあったとき世間に通用しないでしょう。
どうぞご理解下さい。私は同人活動を周囲にはひた隠しにしている臆病者ですし、万が一にも話が大きくなるような事態は避けたいのです。