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パラレルAL 27話

昨日からテンションがあがりまくってますので、盛り上がってるうちに(私が)パラレルは終わらせようと思います。
思ったんですが、ポカが多くなっても最初に全部書かない方が予定通りに終わらせられていいのかもしれません。『あらすじ』という骨に肉をつけてはいますが、バニシングのように贅肉はつけずに済んだような気がする><

ところで、今訳あってネカフェにいるのですが(というか我が家のモンハン厨に連れて来られた。ネカフェからINすると、ネトゲって色々特典があるので定期的に行きたがるのですが、一人で行くのは嫌らしい)メイリオ入ってないXPってσ(´ x `;*)ンート・・・すごい見づらいですね。こんなでしたっけ??
キーボードもデフォルトのまんまなので『』がどうやったら出せるのか……? 仕方ないので「かっこ」と入力して変換したのですけどどうやったら出せるのですか~

以下、続きです!

続きが気になると言っていただけて嬉しいです^^
多分あと5話もないと思いますので、もう少しお付き合い下さいませ。

「あ、えっと……夕ご飯を作ろうと思って」
 三度も送った暗殺者を全て返り討ちにしておいて、こんなところになぜいるのかと聞いたつもりだったフレイルは、眉を寄せてゆっくりと兄の側に歩み寄った。彼の剣技は侮れない。その間合いの一歩外できっちりと立ち止まる。「そんなことを聞いているんじゃない。頭をどうかされたのか?」
「あ、うん。そっか、ごめん」
 本当にわからなかったらしいルークは、頬を染めて俯いた。目立たないようにしてはいたが、打てば響くような才気にあふれていた兄の変わりように、フレイルはますます眉間の皺を深くする。
「おれ、お前に会いたくて。渡したいものがあって、軍の駐屯地に行くつもりだったんだ」
「私に?」
「うん、これ……」

 ルークははめていた指輪を抜き取ると、フレイルが警戒して開けていた間合いをあっさりと詰めた。あまりに無心、あまりに無造作な動きだったため、フレイルはとっさに対処もできず、男にしてはほっそりとした小さな手が己の手を取るに任せてしまう。弾かれたように一歩後退したときには、手のひらにほんのりと温もりの残る指輪が乗っていた。まじまじと見つめ、自嘲の笑みを浮かべてぎゅっと握りしめる。
「道理で見つからないはずだ……気付いておられたのか」
「そうかもな。……もうわからねーけど。おれが王宮の異変を悟ったら、それを持って逃げろってことだったのかも。一応、王太子だったわけだし……」
「今もだろう」
 ルークは少し哀れむような笑みを浮かべて首をかしげた。「わからねえ? おれが、それをお前に渡した理由が」
「……」
「フレイル、もう一度お前の名でダアトに和平の申し入れを。……その印璽があれば、ダアトもお前の王位の正当性を認めざるを得ないはずだ」
 フレイルは俯いて印璽を握りしめた。この印璽で封をされた親書ならば、ダアトはそれを送ったものに疑いを差し挟むことは出来ないのだ。例えこれが何かの間違いであったとしても、印璽が本物である限りダアト側は『王の親書』として扱うほかない。今度こそ真剣に議題に上げることだろう。
「あなたは? 正当な王太子であるあなたはどうされる気だ」
 問われると、ルークの頬にまた朱が差した。うろうろと視線を左右に走らせ、フレイルを見上げた顔に、フレイルは息を飲んだ。

 ルークの顔は、出陣式で見たときの顔とはまるで違う。母に似ていると誰もが褒めそやしていたが、フレイルは全くそう思わなかったのに。
 今対峙しているルークの顔は、どこから見てももう少女には見えない。年相応の青年の顔、とまではさすがにいかないにしても、少年の、男の顔をしている。にも関わらず、はっとするほど肖像画でしか知らぬ母の面影を彷彿とさせた。以前はどこか不健康な臭いのする退廃的な美貌だったものが、短い期間で圧倒されるほど生気に溢れ、それでいて華やかな色気を纏っている。兄は本当に、とても美しい人だったのだと、フレイルは初めて気付いた。

 瞠目して自分に見蕩れているフレイルに気付かず、ルークは恥ずかしげに視線を落とした。「あの……さ。おれ……。好きな人が、一緒に生きて行きたい人が、出来たんだ……。だから、王位継承権は放棄したいと思う。おれはもう王宮には戻らない。……こんな大変なときに責任をお前に押し付けるようで、悪いんだけどさ……」
「あなたが? そのような粗末な服を着て、山で狩りをするような階層の娘と、兄上が?」
「う、あ、え……と。う、うーん。そうなような、そうじゃないような……?」
 どっちだよ、とフレイルは目をすがめた。目の前でルークは、ますます俯いている。その耳が赤くなっているのが目に入り、胸のどこがでちり、と焦げ付くような痛みを感じた。「……?」
「フレイル?」
 思わず胸に手を当ててしまい、ルークが心配そうに見上げてくるのを見て、ふと意地の悪い気持ちになった。
「いや、何でもない。……よしておきなさい。あなたには無理だ。──いや、我々には、かな?」
「……? なんで?」
「生まれたときから我々は王族で、生活の苦労など知らず育っている。今は異なる世界が物珍しくて、何もかもが楽しいのだろうが、そんな生活慣れたら仕舞いだ。たちまち『こんなはずではなかった』と思うようになり、貧しい生活にも倦むに決まっている。その娘を傷つけるだけだ。──王宮に戻りなさい。そして玉座に就きなさい──王太子のあなたが」

 こんなことを重臣たちに聞かれたらまずいのだろうが、それはフレイルの偽らざる気持ちの一つだった。父よりも絶大な人気のあった母に酷似した、繊細な容貌と優しい性格は、仕えるものの庇護欲と忠誠心を煽るだろう。まともに政が行われるのであれば、別に自分でないものが玉座に就いても構いやしない。

 ルークは俯いていた顔を真っ直ぐに上げて、フレイルを見つめていた。
「おれを殺したかったんじゃねーの? キムラスカに戻って欲しくなかったんだろ?」
「ああ……そうだったな」フレイルは悪びれもせず素直に頷いた。「私自身は、こういってはなんだが、あなたなど何の障害にもならないと思っている。むしろ、傀儡にするのにこれ以上の人材はないとすら思っていた。……今もな。部下たちはあなたを排除したがっているが……。私は、あなたを積極的に殺したいと思ったことなどない。が、彼らを止めようとも思わない。──そんなところだ」
「……父上を独り占めしてたおれが、憎くねーの?」
「憎く? ──私は、むしろ兄上は可哀想な人だと同情していた」
 瞬間、ルークは今にも泣きそうな目でフレイルを見上げた。「……ありがとう。……お前がおれを憎んでいるわけじゃないってわかって、ほっとした。おれ、お前には憎まれても仕方ないと思ってたから」
 フレイルの目の前で、ルークは思わずどきりとするほど透明な涙を一筋落とした。指先がぴくりと痙攣する。抱きしめて安心させてやりたいと、思わず腕が動きそうになったのだ。なるほど、これではアルマンダインが兄の求心力を危険視するわけだ。
「フレイル、おれは自分のことしか考えられないんだ。自分の腕で囲めるちょっぴりの領土を治めるのが精一杯なんだ。ちょっと前のおれはそんなことすら考えられなかったんだけど、今いろんなことを考えるようになって、改めて思う。おれは、王に向いていない」
 ルークは真摯な瞳できっぱりと言った。「だけど、おれがいれば、担ぎ上げたいやつも出てくるだろう。おれの方が王に相応しいと思うからじゃないんだぜ? 無能なやつは今自分が政の中心から弾き出されているのは自分の能力不足のせいだと考えない。お前を追い落とし、お前の部下を排除しておれに恩を売る。そう考えるやつを事前に阻止しようとおれの命を狙うのは、正しくもある──嫌だけどさ」
「……」
「おれは、確かにお前のいう通り、貧乏生活が嫌になったりするかも知れない。こんなはずじゃなかったって思うかもな。けど、そんなの皆一緒だ。下の人たちだけじゃない。貴族だって王族だって、『こんなはずじゃなかった』って思うことなんか山ほどあるだろ。だから、おれはもしかしたら後悔するかもしれないってことだって、怖くない。足掻くよ。どんな環境にいたって幸せになれるし、人だって愛せる。心の持ちよう一つでさ!」
「……兄上」
「一緒にいたいんだ……!」 

 フレイルは大きく息を吐いて目を伏せた。一体どんな泥臭い娘が、宮廷に出入りする女の誰もが成し得なかった偉業を成し遂げたのだろう。心を歪め、身体を歪めて母のようになろうとした兄の成長を促したのだろう。また、ちり、と焼けるような痛みを胸に感じた。
「──わかった。兄上はその娘のところに行って、貧しさに喘ぎながら生きて行くがいい。身分を捨て、キムラスカ王室と無関係な市井の人間としてどこか遠くで生きていくなら──もう二度と、暗殺者を差し向けさせないと約束しよう」
 フレイルは少しずつ周囲を包囲して行く部下たちの気配を確認しながら言った。
「ありがとう、フレイル……」
「……あなたは、血の繋がった兄でありながら、誰よりも遠い存在だった。父上は私のことも、私があなたに近づくことも嫌っておられた」
「……」
 ルークはまっすぐにフレイルを見上げていたが、周囲の気配に警戒して少し身体が強張っている。
「これが最初で最後だ。あなたを抱きしめさせて欲しい──弟として」
 ルークは驚いたように目を見張り、淡く微笑んで腕を広げるフレイルを見つめ──身体から強張りを解いた。肖像画の母によく似た秀麗な顔に、淋しげな笑みが浮かぶ。

 誰もが、王太子はちょっと落とせぬ人だと言った。
 どんなに恋うても眉ひとつ動かさぬ、氷の天使だと言った。

「あなたは愚かだ。──そして、甘い」

 自分からフレイルの腕の中に入ってきた兄の身体は、思った以上に小さく、暖かかった。

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料理、読んだ本、見た映画、日々のあれこれにお礼の言葉。時々パラレルSSを投下したりも。

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