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闘犬アッシュ23

「〜って書いたような気がするけどどうだっけ」というようなことが多く、整合性があるのかどうか確かめるために一話目を読み返そうとして挫折しました><
無理だ……!
少なくとも一年くらいは開けないと、樹海に走りたくなる。

あちこちつじつまが合ってないのは、完結してから一年ぐらい経って修正しようと思います。すみません。

ところで遅まきながらバトルシップ観ました。

面白かった! ストーリーは超王道で、展開がめちゃくちゃわかっちゃうんですが、それがいい感じなのです。来たきたキター!っていうような。最初のあたり、失敗だったかな〜と思い、他の作業しながら観流してたので、すぐにわかって良かったはずの「バトルシップ」があれだったのはぜーんぜん気付かなかったのですが、そのぶん老兵たちの出現に「キター!」と興奮できてよかった……かもしれない。戦艦のドリフトとか、興奮しない人はいないんじゃないでしょうか。(巻き戻して観直しちゃった)うーん、リアルさを追求しちゃう人は興奮しないかも。「現実では出来ない」とかマジメに考えず、観たものにそのまま興奮できる人向け? 海自のナガタ少佐(浅野忠信)が脇役ではなく、完全に主人公のパートナーになってるのも良かったです。

いや、チンピラがなんですぐに大尉になってんの? ネイビーちょろいな! とか思わない人はいないと思うんですけど、そんなことを気にしながら観たら負け組。子どもに戻って特撮を観てるみたいな気分で鑑賞しましょう。そうすると昨今こんなにわくわくする映画もそうはないです。最初のほうをほんとまじめに観てなかったので、二回目吹き替えで観直しました。字幕だと思わずこぼれるナガタの独り言が日本語になってるのが面白かったりしたんですが、最後のあたりの「孫子の兵法ごちゃまぜにしてる〜」のくだりは吹き替えじゃないとよくわかりませんでした。これは吹き替えがおすすめかもです。

今回エイリアンの外見がちょっとだけ人間っぽかったし(『プロメテウス』ほどじゃないけど)先に対話を試みるべきではと思うほどで、エイリアンたちがよくある地球人vsエイリアンみたいな無差別殺人者ではなかったのですが(むしろ地球人のほうが好戦的に見えた)、やっぱロマンスはないのねー。こういうことを言うから「恋愛脳」って馬鹿にされるんだと思うんですが初代『マクロス』であったような地球人とエイリアンのロマンスが脇役でいいからちょこっと入ってるようなの観たいなあ。アメリカは多分絶対作らないだろうけど。そういうの作りそうなのって、やっぱ日本人なんですよね。(『マクロス』があるから言うんじゃなく)

「……首輪を外したときの様子はどうだった。怯えてはいなかったか」
「あんた、おれの話を聞いてんのかよ……っ!」
 少年はすぐに噛み付いてきたが、ヴァンからなんの反応も返らないとなるとぶすっとしたままそっぽを向いた。「……それがどうしたよ」
「気付いているだろうが、あれは少々特殊な育ちをしていてな。我々があの嫌らしい首輪を外そうとしたときには、すでにあれの──精神と言おうか、がっちりと食い込んで、外せなくなっていた」
「……っ」
「お前は認めたくないだろうが、首輪の外れたアッシュは狂犬そのものだ。ひとたび首輪を外せば、敵全ての喉頸を噛み切るまで、静止の声もろくに耳に入らん。もしもを恐れた先代は、あれを地下牢に閉じ込めて飼っていたくらいだ。それほどに、あれの暴力には容赦がなく、慈悲の心が欠けている。躾けた先代はそれで良かったのだろうが、正直使いどころも難しくてな。下のものはあれの牙がいつ己に向くかと怯えている。それがわかっているから、あれも地下牢から出たがらなかった。閉じ込め、閉じこもり、頑丈な錠を下ろすことで、双方が心の安寧を得ているありさまだったのだ」

 少年の澄んだ瞳に涙が盛り上がるのを、ヴァンはまじまじと見つめた。一体、なんの冗談だ。マフィアに飼われる殺人犬のために涙が流されるなど。これほど現実味のない光景は見たことがない。
「お前があれを解放してくれたことは、ありがたいと思っている」
 その特性を大いに利用させて貰ったのは確かだが、まあこれは黙っておくのが良識というものだろう。
「…………っ」
 わずかに赤くなった少年の頬に、一筋の涙が伝い落ちた。微かに眉を寄せ、唇を噛む。少し恥ずかしげにも見えるその表情は、アッシュには到底作れないものであったにも関わらず、なぜか二人の容貌の類似性をより強調して見せた。
「時に聞くが……。あれと似ていると言われたことはないか」
 少年が不思議そうに首を傾げた。「あるけど……髪の色が同じだからじゃないかって、アッシュが。もしかして、あんたも赤毛?」
「いいや」
「兄弟でも違うんだ。おれんとこはみんな同じ色らしいのに」
 さらりと返したが、視線の合わない瞳にはどこか疑惑の色が揺らめいている。
「戸籍上では兄弟だが、血は繋がっていない。聞いてないのか?」
「ほんとの……兄弟じゃない?」
 ヴァンの台詞のもたらした効果は、劇的だった。顔からみるみる血の気が失せて行き、微かに開かれた唇が震える。「で、でもアッシュは、髪と目はおそろいだけど、顔は全然似てないって……」
 ヴァンはごみ拾いの老婆がごみと一緒にアッシュを拾い、育てていたことは聞いているが、もとの身元など知らなかった。ピアノを弾いたことがあるようだというアッシュに、良いうちの出なのかも知れないと返したことを思い出す。
「……お前を「かわいい」と識別したことすら私には不思議なくらいなんだがな。あれに己の顔と他人の顔の類似性を指摘しろといっても無理な話だろうよ。私はあれの出自を知らんのでな。あまりに似ているから、なにか関係があるのかと思っただけだ。心当たりでもあるのか?」
「兄ちゃん」
「なに?」
「十六年前の、飛行機事故。兄ちゃんだけ遺体が見つかって……ない。それに、おれや伯父さんのような赤毛は、キムラスカの一家系ににしか出ないって。父さんと母さんは従兄弟同士で……でも……おれにはどんな色だかわかんねえし……」
「お前の伯父は」
「ICUを出たり入ったりで、まだ……」
 葉巻を掴み損ねて舌打ちし、軽く火傷した手を振って、ヴァンは少年を見つめた。血の気を失った白い指でますます固く掻き合わせた襟元の上に、赤い痕が覗く。それに気付かずとも、ヴァンはアッシュとこの少年の今の関係を知っているのだった。
「……似ているだけでは、本当に血の繋がりがあるかどうかなどわからない。調べてみないことにはな。他人のそら似という言葉もある」
 アッシュはともかく、ごく一般的に、常識的に育った少年には、実の兄と道ならぬ仲になってしまったことは受け入れられることではないと判断し、柄ではないと承知の上でそんな慰めを言ってもみたが、少年の表情は晴れなかった。
「し──調べるの?」
「あれが先代に引き取られるまで一緒に暮らしていた婆さんはもう他界しているが、まあ、その気になればな。だが、病院に連れて行ってDNA検査でもするのが手っ取り早い。一発だ」
 びくりと少年が身を震わせ、ぎくしゃくと首を振った。
「知りたくないか。……まあいい、気持ちはわからんでもない」全く、いらぬ気まぐれを起こしたがために、面倒なことになったものだ。こういうことは出来れば知らないままでいたかったと、ヴァンはため息をついた。
「安全なところまでは送ってやる。これに懲りたら、こんな時間にふらふら出歩かないことだ」
「……伯父さんの見舞いに行ってたんだよ」少年は遊び歩いていたわけではないと答えたが、さっきまでと違って、声は妙に虚ろで、力ない。
 そのことにどこか気持ちが沈むのが、我ながら不思議だった。ヴァンはその重苦しさを払うように煙を吐いた。
「私に掴まるがいい。杖の代わりに」
「あ、ありがと。──さっき、ごめん。あんた……血が繋がってなくても、ちゃんと兄貴やってんだと思う……」
 少年の消え入るような声に、ヴァンは片眉をあげて見下ろした。標準よりもやや小さいだろうか。ヴァンよりも大柄なアッシュが、庇護欲をかき立てられても不思議はないかもしれない。打ちひしがれた少年には、ヴァンのような人間でさえも、思わず手を差し伸べてしまいたくなる風情があった。

 ああ、そうか。

 唐突に納得した。もしもアッシュがこの少年の兄なのだとしたら、この少年もまた、ヴァンにとっては弟と呼べるものなのかも知れないのだと。

「おかえりルーク。さっきアッシュが上がって行ったぜ」
「ありがと、ゼーゼマンさん」
 ドアマンのゼーゼマンにアッシュの訪いを告げられ、ルークは壁伝いにエントランスへ飛び込み、エレベーターに飛び乗った。
 部屋に入るなりジッパーの壊れたトレーナーを脱ぎ、廊下にアンダーシャツとソックスを放り、ジーンズから片足を引き抜き、なかば引きずりながらリビングへ飛び込む。
「ルーク?!」
 おとなしくソファでテレビを観ていたらしいアッシュが仰天して駆け寄ってくる前で、引っかかっていたジーンズとボクサーブリーフも脱いで投げやってしまう。「ルーク」「座って」」
 様子のおかしいルークにアッシュも一瞬は逡巡したが、すぐにルークを抱えたまま毛足の長い絨毯の上に座ってくれた。
「ルーク、何が」
「黙って」裸で飛びかかって、いきなり服を剥がしだすルークに、アッシュが慌てて静止の声をかけるが、ルークは無言でシャツを剥ぎ、キスで唇を封じた。愛おしさや恐怖や……なにかよくわからないもろもろの感情で、胸の中は荒れ狂っている。今にも涙が溢れそうだった。眉間が熱くなり、鼻の奥がつんとするのを無視して、ルークはやんわり押し返そうとしているアッシュを絨毯に倒した。ルークを壊れ物のように扱うアッシュを押し倒すのには、さして力も必要ない。首筋に唇を這わせ、傷んだ肌を舐め、吸って痕を残す。鎖骨に思い切り噛みつき、痛みに跳ねる身体を押さえつけて乳首を探り、舌を這わせると、アッシュの喉から低い呻きがもれ、押し返そうと掴んだ指に力がこもった。
「ルーク、待って、何があった?」
「なんにも。……乳首気持ちいい?」
「う、ん……。で、でもルーク、ちゃんと……ちゃんと話そう」
「……あとでな。今、したいんだ」
 様子のおかしいルークに、アッシュは受け入れることも、拒否することもできずに戸惑っている。構わずに次第に固く尖ってきたものを吸い、舌先で転がしながら、もう片方を摘んでこね回した。
「……アッシュもここ、弱いよな」
「ん、あっ、ああ……、る、ルー、ク……っ」
 いつもは声の低いアッシュの、少し上擦った喘ぎ声は、ぞくぞくするほど色っぽい。こみ上げる冥い愉悦に興奮して、固くなり始めたアッシュの股間に尻をすりつけるようにすると、骨が軋むような力で腰を掴まれ、身体を反転させられた。

 身体を二つに裂くようにアッシュの大きな楔が入ってきたとき、ルークはこれまでせき止めていたものを、生理的な涙と一緒にようやく流すことが出来たのだった。

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