闘犬アッシュ18
あんまり生き生きしすぎて二話になりそうな勢いだったので、だいぶ削りました。ただでさえだらだら書いてるしな^^; 機会があったら、大幅に削ったアッシュのナチュラルな言葉攻めとか、こういう一幕もあったよ、ということで載せられたらいいのですが、だいぶエロの備蓄がなくなってきてるので(なんといいますか、同じようなシーンばっかになっているというか)、別作品に回すかも知れません。腐仲間の皆様の目から永久に隠されることはないような気がします。
これだけでもルークのかわいそっぷりは十分だと思いますし!
はしゃいで書いたのはここまでですので、続きは一から書くのですが、なんか思った通り勢いでいけそう。どっかで詰まらない限りはもう完結させてからVoiceに戻ります。連作も同時進行中という無茶ぶりですが、気長にお待ちいただけると嬉しいです。
以下、闘犬。
さっきまでルークが怯えていたためか、アッシュは再度の役割交代に非常に消極的な様子を見せた。そのため、ルークはほとんど愧死しそうになりながら、アッシュのやり方は気持ち良かったし、やっぱり初心者の自分は先にそれをお手本にして憶えたほうがいいと思うと告白しなければならなかった。その際、自分が色々憶えたら時々交代をしようと再度念を入れてしまったのは、どうにも捨てきれない小さな矜持からである。
アッシュはルークを怖がらせないよう、またどれほど小さな痛みであっても与えることのないよう、恐るべき忍耐力を発揮して少しずつ後孔を拓いていった。時折肌のあちこちにちりちりと痛みが走るのは、アッシュが「印」を付けているからだろうか。
「なんだか気持ち悪い、なんか出ちゃいそう……っ」
オリーブオイルを後孔や指に塗り込めて、アッシュは延々と解してした。固く締まった場所は最初こそ侵入した指を拒み、締め付けて外に出そうと言う動きを見せたが、今はそれが呼吸するように小さく開閉し、くちくちと粘った音を立てていた。痛みはない。ルークを苦しめるのは排泄感だ。
「みんなそう言うけど、大丈夫」ルークの切羽詰まった泣き声を聞いて、アッシュが挿入を深くすると、なぜか排泄感を感じなくなった。「もう平気?」
「う、うん……なんで?」
「さあ……?」
排泄感は一度感じなくなると、再び浅いところを探られても平気になった。そうなると今度は意識が内部を探る指の動きに集中してしまう。
後孔を寛がせるために、アッシュは一体どれだけ時間を費やす気なのか。ルークには何がどうなればアッシュが納得するのかわからないが、自分だけが乱されているのがたまらないほど恥ずかしく、何度ももういいのではないかと言ったのだが、アッシュはそのたびにもうちょっととそれを躱し、ルークを涙ぐませた。指が増やされるその一瞬だけはぴりっとした痛みを感じないではいられなかったが、人の身体というのは不思議なもので、そのさらに一瞬後にはその指にも慣れてしまう。
「あっ、も……っ、もしか、して、ここですんのっ、んっ、初めて、じゃ、ないっ?」
「そう言っただろう」
「なん、でっ? 女の、人は、っあ、ちゃ、ちゃんとあるん、だろ? い……っ、挿れるとこっ」
「尻のほうが気兼ねなく楽しめると言ってたが」
「ん、ああっ、きっ……きが、気兼ねって──」
「さあ……?」
ルークに集中しているらしいアッシュの返答は半ば上の空だったが、とりあえずは「男も女も同じ」だというアッシュの言葉の正確な意味が分かった。
「……? ここになにか埋まっ」
「──ひ、あぁあああぁぁっ、あっあっああっ」
アッシュが不思議そうにぐりぐりと指を動かした場所が、いわゆる前立腺だとルークが気付いたのは、衝撃で三度めの放出を果たしたあとだった。
「ルーク?」
「あ……っ、はあっ、はあっ、そこ、そこ、や、めっ!」
どんな言葉よりも明白にそこが性感帯だと気付いたアッシュが、そこばかりを重点的に攻め始めた。泣きわめいて身をよじるのを器用に押さえ込み、乳首を吸いながら、強く押さえた指で何度も擦り立てる。時々思い出したようにキスをして、心底申し訳なさそうに泣かせてごめんと謝ってはくるものの、一向に行為を中断しようとしないのは、本当はちっとも悪いなどと思ってないからなのだろう。
半ば頭が快感に飛んで朦朧としてきたころ、アッシュがとろとろに溶かされた後孔にゆっくりとペニスの先を押し当てた。ルークの顔が例え物欲しそうに見えたとしても、決して怯えてはいなかったと思う。
それでも、アッシュが入ってきたときには息が詰まるような衝撃があったのだから、屹立したアッシュの大きさのほどが知れようというものだった。力の抜けきったはずの身体が、再び強ばってくる。大きく張り出した先端部分が、ルークの内襞を限界まで押し広げながら狭い肉の輪をじりじりとくぐる、その圧迫感にルークは仰け反り、はくはくと必死に呼吸を繰り返した。全身からどっと汗がほとばしり、肌の上を這い、流れ落ちる。痛みはほとんどなかったが、今、まさに引き裂かれている、そういう感覚があった。忙しなく息を吸っているのに、吐くことができない。
「……痛くないか?」
どこか探るようなアッシュの声に、ルークは喘ぎながら首を振った。凄まじい圧迫感と異物感はあるが、強がりではなく、本当に痛くはなかった。アッシュがほっとしたように息をはいたと思うと、抱え込んだルークの脚を更に高く持ち上げる。角度が変わって、より深く入ってきたペニスが、ルークの息を更に詰まらせた。
「ん……ふうぅっ」
「痛い?」
「──んあ……っ、ああっ、あっ、あっ!」
伸びきった結合部をアッシュの濡れた指が辿ると、それだけでも感じてしまって、高い嬌声が迸った。
「すごい。いっぱい広がってる。中も……中に何か別のモノがいるみたいに動いてる。全部入ってるのに、まだ引きずり込まれそうだ……」
「はっ……な……?」
「こうやって少し引いたら、ルークのここが纏わりついて、外まで付いてくる。綺麗なピンクで……。ルークの身体は、中まですごく綺麗だ……」アッシュはほんの少しだけ腰を引いて、どこかうっとりしたように呟いた。
「ひ、や……それ、それって……」腸が外へ引っぱりだされているってこと? ルークはもう気絶しそうだった。アッシュがこのまま腰を引いたら、内臓が全部引きずりだされてしまうのではないか。「死んじゃうっ! おれもう死んじゃうよう……っ!」
「大丈夫。よくある」
ルークが恐怖と快楽と羞恥とで泣きじゃくっているのに、アッシュは宥めるように軽いキスを落としたあと、ルークの一番感じるところを目がけて押すように突き、高く張り出したカリの部分で内襞を引っ掛けて掻くように抉った。脊椎を貫いて脳天まで突き上げる快感に、ルークの背中がぐうっと反り返る。
「く、ぁ────!」
アッシュから与えられる何もかもが、ルークの想像の範疇を大きく越えていた。びっしりと汗の浮いたアッシュの背中に思い切り爪を立ててしがみつくと、痛みからかアッシュが彼の温厚な性格には似つかわしくない、獣のように獰猛なうなり声を立てた。内臓を押し上げるように、腹の中をみっちりと満たしたものが、更に大きさを増したように感じる。熱湯を注がれたように、急に後孔がかっと熱くなった。目の奥に、火花が見えたようだった。くちくちと粘った音を立てていた結合部は、今や突かれるたびにじゅばっ、じゅばっといういやらしい水音を立てる。
「……すごい。ここが、こんなに濡れるなんて、知らなかった」
「や──ぁっ、あう、はっ、いっ……!」
「イイ? ルーク、気持ちいい?」
「あっ、あっ、んっ、い、いいっ、あっ、いい、いい、きもっ、きもちいい!」
問われるまでもなく、その言葉と心臓の音だけが脳内を渦巻いている。必死で呼吸をしているのに、酸欠でそれすら遠くなって行く。全身が石に変わって行くようにぎゅううっと硬直していき、声なき絶叫とともに、急激に弛緩した。
「……っは、食いちぎられるかと思った……」
アッシュは身体を固く強ばらせ、きり、と音がするほど強く奥歯を噛み締めて、ルークの感じた激しい絶頂感を受け流した。
「……ぁ、は……」
「絡み付いて、ぎゅうぎゅうしてるのがわかる? ほんとにすごい……こんなの初めてだ」アッシュは未だ絶頂から下りてこられず軽い痙攣を繰り返しているルークの頬を撫でて、嬉しそうに笑い、身を起こして少しだけ腰を引いた。「ああ、真っ赤になって、俺のにぴったり貼り付いてる。かわいい。すごく嬉しい、ルーク」
アッシュは呼吸を荒げたまま、奥まで押し込んではまた引き出す動きを何度もゆっくり繰り返している。己自身に絡み付いたルークの粘膜が押し込まれたり出てきたりするのをじっと観察しているのだろうかと思うと、ルークはもう気が狂いそうだった。
「ルークはここでも俺をぎゅっとしてくれる。かわいいルーク、ルーク……」
抱きしめられ、頬ずりされると、凝った乳首がアッシュの胸に触れ、身体の中心に快感を走らせる。内襞の蠕動に、アッシュが耐えかねたように小さな呻き声をもらし、腿を抱え込んだかと思うと再び力強く抽送を始めた。そこはまたしてもかっと燃えるように熱くなり、オイルを足してもいないのに、聞くに堪えない派手な水音を立てる。
「や、や……っ! ……も……て……!」
本当に尻が無事にすまないような気がして、もう無理だ、と泣きながら首を振ったが、返ってきたのは嵐のようなかわいい、という呟きと小さなキスだけだった。
深く突き入られるたびに、そこはぐちゃぐちゃと卑猥な水音を立てた。アッシュが入れば隘路が広がり、抜けばまた塞がって行くさまが最初は確かに感じられたのに、今はもう、狂うような快感しか拾わない。
「あっ、あっ、あっ、んぁっ、あ、あっ、あっ」
いつうつ伏せにされたのか、腰だけを高く上げられて、もうずっと後ろから突かれている。痛いほどに尖った乳首はシーツに擦られ、別の快楽に脳の芯を灼いて行く。激しい呼吸のため閉じることさえ出来ない口から溢れる唾液と、汗と、涙で、シーツはもうびしょぬれになっていた。
何度達かされたのかもうわからないが、もうとっくにルークはからっぽになっていた。なにも出ないのに達する感覚は、ルークの幼い想像を遥かに超えている。体中が性器になったみたいに敏感になって、極まったあとで落ちて来る感覚がすでにない。無意識に静止の訴えもしていたが、すでにろれつがまわっていないし、全く意味をなさず、アッシュにはその意図するところは伝わっていないだろう。
「ヒィ──……っ……!」
腰を掴んでいたアッシュが、ルークの尻朶を掴んでぐっと左右に割り広げた。もう限界まで入っていると思っていたのに、更に奥を突かれ、ひどく細いかすれ声で悲鳴がもれる。アッシュが極まる、ルーク、という小さなうめき声が聞こえた。
ルークは半分意識を遠のかせながら、安堵の息を吐いた。もう終わり……? もう、休んでもいい……? アッシュは何度達っただろう、二度? 三度? 何回めか覚えてないけど、達するまでにルークの何倍も時間がかかるらしいアッシュに翻弄されている間、ルークだけが何度も達かされて文字通り昇天しそうになっているのだから、アッシュだってそれなりに限界なはずだ。
だがアッシュは、ルークの中に深く己を埋め込んだまま、出てゆく気配もない。ルークの背中じゅうにキスを落とし、その肉を噛んで吸って痕を残し、汗を啜って、かわいいルーク、と呟く。
そのたびにびくびくと神経がむき出しになったような身体を震わせながら、ルークは虚ろに訴えた。
「ぬいて……もうぬいて……」
「なぜ?」
「もう、むり……もう……。ね、ぬいて……ぬ、いて──」
「でも、ここはまだ……ほら」アッシュがルークの腹の下に手を回し、中途半端に勃ち上がったままの性器を手のひらで揉むように触れると、それだけで体内がぐねぐねと蠕動するのが自分でもわかった。
「うあ、ち、が──」
アッシュが腰を引く気配がして、ほっと息をついたとたん、それはいきなり最奥を突いてきた。
頭の奥で赤い火花が散って、真っ白に染まった。