Entry

パラレルAL 8話

あらすじから極力外れないよう書いてるのに、それなりに長くなるものですね><

……多分、余計な方向に発展させてはいないはず! なんですが。

一話分くらいは余計に足してR指定シーン入れる事も出来ますけど(匂わせはします)いりますか?

えーちなみに。
アイアントライアングルもラストソルジャーも、親子ほどに歳が違うので、鑑賞中にBL的にwktkすることはないと思います。……もうちょっと若くてイケメンだったらな〜とは思いましたが……。特にアイアントライアングル。ベトコン少年がなかなかキレイな顔だったので余計に。(多分。何か他の映画とごっちゃになってなければ……。だってもう十年以上観直してないし><)

以下、続き。

 ルークが水から上がっても、アッシュはもう、ルークの手を縛ろうとはしなかった。
「譜銃、使えるか」
「え、あ、ああ」
「なら持ってろ」
 頷くと同時に譜銃が飛んでくる。
「ったく、弾き飛ばしたお前の剣、拾っておくんだったぜ! 事が済んだら売れるし、王子様の剣なら良い金になったろうに……!」
「……お前ってほんとに……逞しいなあ」
 命を狙われて半日、ルークはようやく弱々しい笑みを見せた。
「おれに武器なんて持たせて、大丈夫?」
「──試しにそれを俺に向けてみたらどうだ?」
 ウサギのスープを掻き回しながらそういうアッシュは、ルークの方を見てもいない。どうなるのか興味がないわけではなかったが、ルークは苦笑して懐に納めた。

「……まだ、親父の命令だって決まったわけじゃねえだろうが」

 全く食欲のない様子のルークに心が痛み、アッシュはそんな意味のない慰めの言葉をかけてみる。
「うん……。そう、だよな」
 ルークは疲れたような顔をして笑んで見せたが、返って痛々しさだけが募り、気の利いたことの言えない自分に思わず舌打ちが漏れた。
「お礼、遅れたけど。さっきはありがとな」
「いや……お前の命を守るのは、結局のところ俺のためだ。礼を言われる筋合いはない」
「うん。でも……ありがと」
「……」

 目前で赤々と踊る火を眺め、ルークの髪に似ていると思い、果たして本当に恩賞のためだけに助けたのかという疑問が過った。確かに、塩漬けの首と生きたままの捕虜では恩賞の額に差が生じる。それが王族ともなれば雲泥の差になるだろう。──あのときはまだ彼が王族だなんて知らなかったけれども。

「あの、さ。さっきおれを助けてくれた力は……」
 おずおずとかけられた声に、アッシュはぎくりと身を固くした。あの混乱の状況では上手く流してくれるかもしれないと都合良く考えたが、やはりそんな甘い話はなかった。
「……ごめん。聞いて欲しくないことだったんだな」
 痛みを堪えるように眉を寄せたアッシュの表情を見て、ルークも同じような表情を浮かべる。「おれ、そういうとこ鈍くて。ほんとにごめん」
「いや」

 アッシュは枯れ枝を焚火に放り込み、首を振った。あのときは、見られたらどうなるかとか、そんなことを考えている余裕がなかった。譜銃を構える余裕くらいあったはずなのに、力に頼った。結局自分の首を絞めるのは自分の余裕のなさで、相手を責めても仕方がない。
「超振動……と言われる力だ」

 ルークはウサギのスープの入った椀をおざなりに掻き回しながら、きょとんとアッシュを見つめた。そんな表情をすると、ただでさえ幼い少女じみた顔がいっそう幼く見える。

「……神話の……ローレライの子が使うっていう? 物質を音素に分解する力?」
「……ああ」
「ローレライって、ほんとにいるの?」
「さあな。会ったことねえし。……少なくとも、俺の親父はローレライなんて名前じゃない」

 じっと手のひらに意識を集中すると、まるで手の内側から発光しているような光が溢れ出す。アッシュがひょいと小石を弾くような仕草をしたとたん、河原の小石が一瞬で音素に変わった。ルークは身体を捻るようにしてその光景を見つめ、ひどく感心した様子でアッシュに視線を戻した。真っ直ぐに自分に向けられたアッシュの小麦色の手をまじまじと見つめる。

「お前、怖くねえの」
「おれを分解しちゃったら、恩賞貰えなくなるんだろ」
 アッシュがつまらなそうに鼻を鳴らして手を握ると、やはり光は小さく収束し、吸われるように消えた。
「ここまでコントロール出来るようになるのに、結構苦労したんだ」
 拳を固く握った手首を反対の手で軽く握り、ぐーぱーを繰り返してからアッシュは手を解いた。
「人助けのつもりで力を使ったところをヴァンに見られてな。……俺を手駒にしたかったらしいが」アッシュはうんざりしたように首を横に振った。「だが思い通りにならなくても自分の手のうちに置いておきたいんだろう、出世とは縁がなくなっちまった」
「どうして? ──お前の方が、強いんだろ」
「殺し合いならな。純粋に剣の腕なら、まだちょいと敵わねえかもな。……この力は、無いものとして扱う。過ぎた力は身を滅ぼすと親父もいうしな」
「お前の父上は……偉い方だな」ルークはスープを啜り、自嘲の笑みを浮かべた。「本当にその通りだ。内政をおざなりにして、分不相応に国を拡大しようとした結果、キムラスカは滅びの危機に瀕している。戦を止め、和平への道を探ろうとしている弟は、お前の父上のように良い臣に恵まれたんだろう。日和見のおれをあいつが嫌うのは仕方ないことなのかもな……」

Pagination

Utility

Calendar

10 2024.11 12
S M T W T F S
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

About

料理、読んだ本、見た映画、日々のあれこれにお礼の言葉。時々パラレルSSを投下したりも。

Entry Search

Page