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パラレルAL 4話

展開早いですけどもたもたしてると付け足し癖が発動されて終わらなくなってしまうので、さらっと書いたあらすじから絶対逸脱しないで書くんだ!

ということで、気に入らないところは脳内補完でお願いします。

三話まで読んじゃった方は、もう諦めて最後まで読んで下さると嬉しいです><b

 下の人たちって──大きな鉢の中に、直径が二回り小さく底の深い鉢を逆さまにしたような形状のキムラスカ・ランバルディア王国の首都バチカルでは、上層にいくほど身分も上がるので、一般国民のことを貴族はそう呼ぶ──本当に逞しいな、とルークは小さなナイフで器用に内蔵を引き出し、岩塩と胡椒を挽いた魚を火で炙っているアッシュを見つめた。

 よく日に焼けた肌に、真紅の髪は良く映える。肩に付くか付かないかといった長さの髪は、毛先を見る限りどうも散髪を無精しているといったようにざんばらで整っていないが、不思議と彼に良く似合っているように思う。うるさそうにかき上げられた前髪がパラパラと額に落ちているのに、全然不潔な感じがしなくて、男っぽい色気を醸し出しているのが少々羨ましい。高く秀でた額、真っ直ぐに通った鼻筋、意志の強そうなきっぱりした眉や、ほんの少し目尻の下がった森の色の瞳。顔立ちもかなり整っている方と言えるだろう。

 こういう男ならば、肌が焼けていても、全然滑らかじゃないごつごつ筋張った手をしていても、爪や体毛の手入れがされていなくたって、貴族の女性もカッコいいと思うのではないだろうかとルークはぼんやり思い、いや、と皮肉な笑みを浮かべた。宮廷にうようよいる海千山千の貴婦人たちならば、彼のような男を一夜の恋の相手としておもしろがるかもしれない。だが初な娘たちは見向きもしないだろう──宮廷でする恋の相手としては、全く流行りのタイプではないし。
 だが自分が女なら、家や財産を失って身一つで都落ちするようなことになっても、なんとしても食わせてくれそうな、こんな頼りがいのある男がいいだろうな、と思う。ルークは男だからこそ、憧れもするし、劣等感も刺激されるのだけれども。

 ──なんてことを考えるような変わり者だからこそ、ルークは宮廷で浮いてしまっていたのかも知れないが……。

 魚の脂が炎に落ちて、じゅっといい音を立てた。魚があまり得意でないルークでさえ生唾を飲み込むような、香ばしい匂いが漂う。
「ほら」アッシュが枝を削った急ごしらえの串ごと焼けた魚を差し出した。「熱いから気をつけろよ」
 縛られたままの両手を差し出して、ルークは礼を言って魚を受け取り、嬉しそうに胸いっぱいにその匂いを吸い込んだあと、全く無造作にかぶりついた。とたんに濁音まじりの悲鳴が響き渡る。
「──ばっ! 何やってんだてめえ! 注意しただろうが!!」
 涙ぐんで、哀れっぽく口を開けてはいるが、奇跡的に串を離さなかったルークにアッシュは舌打ちをして、一つしかないブリキのコップに汲まれた冷たい川の水を差しだした。
「あ、あぎあど……」

 良く冷えた水をしばらく口に含んでから飲み込むのを数回繰り返し、ルークはすーはすーはと口を開けて冷やす仕草を見せてからまじまじと魚を眺めた。
「い、今のが熱いってことなのか……?! 下の人たちって、食事のたんびにこんな危険と向き合ってんの……?」
「はあ?」
 意味が分からないといった顔をしているアッシュが、歯で温度を探りながら少しずつ食べ始めたのを感心して眺めながら、涙を浮かべたまま舌をぷよぷよと押してみる。
「火傷したのか」
「……わかんねー。なんか、ぶわぶわってしてる……」
「ドンくせえな。ほら、ちょっと口開けろ」
 アッシュは火から少し外れたところに串を挿し直し、焚火を回ってルークの側にしゃがみ込むと、上を向かせて口を開けさせ、いきなり指を突っ込んだ。
「あー……ここか」
「ひがひ!」
「──火傷だな。少し皮が剥けてる。しばらく染みるぞ」
「ひ! ひがー※▽○□&※□▽!!」
 真っ赤に爛れた部分をぶにぶにと押すと、目尻に溜まっていた涙がとうとう流れ出して、言葉にもならない悲鳴を上げるルークの舌が指をかすり、歯が軽く指を食むような痙攣を起こした。

 泣いている捕虜の口の中に指を数本突っ込んだまま、アッシュは指先に感じたルークの舌の感触に突然我に返った。慌てて指を抜き取り、混乱してしばらく宙を泳がせたあと軍服の裾でそれを拭う。焚火の明かりでルークにはよくわからなかっただろうが、盛大に眉をしかめた顔は、少し赤く染まっていた。

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料理、読んだ本、見た映画、日々のあれこれにお礼の言葉。時々パラレルSSを投下したりも。

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