「唇がなんかひりひりする。お茶もちょっと熱いと染みるような気がする……」
「…………」
ルークが自分の唇をぷにぷに触りながら言うのを横目で見ていたアッシュが、全く表情のないままに目をすっと逸らしたのに気付き、ルークがいぶかしげに聞いた。
「なんか知ってんの?」
「まあ」
ごまかす気すらないのか、事も無げに首肯したアッシュに、ルークもさすがに目を剥いた。
「何にもしてねーって言ったじゃん!」
「キスしただけだ。──そんぐれえなんかした内に入んのかよ」
そう言われて、ルークはこれまでにしたことのあるキスを思い浮かべた。
シュザンヌ、クリムゾンとの『親子の情愛のキス』
ナタリア、ガイとの『幼なじみの親愛のキス』
ピオニー皇帝との『嫌がらせのキス』
「う……ん? ……入んねーかも」
「なら、いいじゃねえか」
「う、うん……? うん??」