※しおさと様からの前置き※
キムラスカなどの名称を色々と書いておりますが、
ジアビスの世界ではございません。
アッシュ(弟)とルーク(兄)はファブレ公爵家に双子としての生を授かりましたが、
前キムラスカ王の実子は儚くも幼くして天に召されておりましたので、
幼い頃から甥であるルークが第一王位継承者でありました。
…という前提でございます。
信じられない事が起こっている。
何度、その言葉が脳裏を過っただろうか。
たった数週間の間で、ルーク・フォン・ファブレは、自分の世界を一変…いや、一変という言葉では足りないと感じる程の変化だ。実感としては、世界の大地を三回転半ほど引っ繰り返して泥団子のように捏ね繰り回して10日以上も煮込んだ謎の煮汁の中でドロッドロに溶かしたくらいの変わりようなのだ…させるような現実を、何度も目の前に突き付けられていた。
既に今回も烈破掌と崩襲脚は試していた。
しかし、前回と同様に、引き下がってくれる気配はない。
技がヒットした場所を嬉しそうに擦りながら「運動不足の解消になれたか?」なんて聞いてくる始末だ。相手を戦闘不能に追い込みたい所だが、圧倒的に不利だった。譜術を習っておけば良かったと後悔しても、手遅れに過ぎる。
ルークは豪奢な天蓋付きベッドの上に押し倒され、しかし、長い朱色の髪を振り乱しながらもすぐさま顔を上げて、迫ってくるソレを睨み付けた。今まさに身体の芯を這い回る恐怖は、剣術修行の一環で初めて魔物と対峙した時に覚えた恐怖とは別種のものだ。
ここは、キムラスカ・ランバルディア王国、
光の都と称えられるバチカルの最上階層にある王城内の一室。
国王の寝室を飾るタペストリーの裏側に隠された、扉の先。
恐怖を覚えるような場所ではない……筈だった。
ルークが王位継承権を剥奪され、その秘密の部屋に監禁されるまでは。
ずっと前から、我儘放題に育った自分が国王の器ではない事くらい、薄々ながらルークは気付いていた。あの夜にクーデターが起こり、面前に剣が迫った時、死の恐怖を感じながらも、その裏側に「…あぁ、遂にこの時が来たのか」と感慨深く思う自分がいたのだから。
ルーク自身は知らない事だったが、第一王位継承者を支持する保守派の殆どは、己の権力を傘に着て、国民から暴利を貪るキムラスカの癌ばかりだった。
溜まりに溜まった国民の鬱憤が、保守派の象徴であるルークに向き、新進派の象徴であるアッシュを後押しする追い風となるまでに、そう時間はかからなかったのである。
新国王アッシュは、国民の熱狂的な支持を受けて、玉座に迎えられた。
幼い頃より囁かれていた、清廉潔白、質実剛健、品行方正という噂に違わず、彼は玉座につくなり詔勅を発し、法の下に万民の幸福を実現すると高らかに謳った。法を明らかにして罪人に罰を与え、才ある者は身分に関係なく登用した。そうして、キムラスカ国内では、誰一人としてキムラスカの繁栄を疑う者などいないといった様子だった。
ルークにとって、
クーデターから起こった一連の出来事そのものは、さして驚く事でもなかった。
問題は、その後である。
最初の驚きは、自分が生きる事を赦された時。
その次の驚きは、
「兄上、何時からなのか明らかに出来ないほど遠い昔から、お慕いしておりました」
苦しみに耐えるような表情で告げられた、アッシュの言葉。
更なる驚きは、アッシュの本性、いや、性癖だった。
「……ルーク…」
ベッドに上がってきて、にじり寄るように迫ってきたのは、清廉潔白と称えられている筈の新国王。玉座に在る時は隙なく整えられてきっちりと上げられた前髪も、少し前に、抵抗されたルークに掴まれて乱されていた。古典の彫像のように整った端麗な面の唇の端には血が滲み、右目のすぐ下には大きな青痣が出来ていて、痛々しい。
普段ならば、痛そうだ…くらいには思ったのだろうが、今のルークには余裕がない。そもそも、アッシュをこれほど痛めつけたのはルーク自身なのだ。烈破掌がクリティカルヒットして、アッシュが片膝をついて蹲った時には、さすがに手加減すれば良かったとルークは反省したのだが、アッシュの口端が喜びで丸く弧を描く様子を垣間見て、「俺は悪くねぇ!アッシュが気持ち悪ぃせいだ!この変態が!!」と反射的に叫んでしまっていた。
その言葉が更にアッシュを喜ばせてしまったと気付いたのは、ベッドに押し倒された瞬間だ。
見上げた先には、アッシュの端正な顔があった。
双子の自分と同じ容姿である筈なのに、男のルークから見ても、アッシュは格好の良い男だった。気難しそうな寄せられた柳眉に、静かな水底を思わせる緑柱石のような瞳、真っ直ぐに通った鼻筋に、引き結ばれた口元、熟成された年代物のワインのような深い紅色の長い髪、剣を嗜む者らしく健康的に焼けた肌、真っ直ぐな一本の芯が通ったように伸ばされた背筋、隙のない足運びに、洗練された所作…そんなアッシュの美点を並べる度に、かつてのルークは劣等感を募らせたものだ。
しかし、今はどこか哀れにさえ思える。
どんなに抵抗しても、どんなに罵っても、
目の前にいる美しい男が唯只管に求めるものは、実の兄であるルークなのだ。
「……お、お前、何考えてんだよ?……お前が一声かければ、どんなキレイな女だって、喜んで寄ってくるだろ……何が良くて、俺なんか抱くんだよ……」
初めての夜に訳の分からないまま犯された時、アッシュは何度も激しく腰を打ちつけながら、嗚咽の混じった声で「ルーク、ルーク」と名前を呼び続けていた。
ルークは初めての事だったせいか、快楽なのか苦痛なのか分からない前後不覚な状態で「最低だ!変態!死んじまえ!殺してやる!」などと叫んでいたのだが、アッシュは恍惚とした表情で頬に涙を伝わせて「…ルーク、もっと、もっとだ…、ルーク、ルーク…もっと……」と、まるで更なる罵詈雑言を強請っているような言葉で応えていた。
今でもその時のアッシュの顔を思い出すと、自然に肌が粟立つ。
「……上辺だけの着飾った女など、お前の足元にも及ばない。誰よりも貴いお前を手に入れる事は出来ない、触れる事さえ叶わない…言葉などかけてもらえない…お前の瞳が俺の姿を映す事も決してない……そんな事ばかり考えて、俺が一体何年を耐え忍んだか…」
アッシュは躊躇いがちに手をのばし、そっと指先だけで軽くルークの頬に触れる。
その瞬間に、ざわと背筋に悪寒が走り、
「やめろっ!!」
触れた手を払い除けようとしたのだが、
その払った手が勢い余ってアッシュの頬を打ってしまい、ルークは驚いて手を引っ込めた。
「あ…」と罪悪感を覚えてルークはこくりと息を飲んだのだが、アッシュは嬉しそうに微笑んで「こんな事も、以前は夢に見る事さえ叶わなかった…。次は何を与えてくれる?次はどんな表情を見せてくれるんだ?」と聞いてくる。
もう無理だ、理解できねぇ…とルークは諦めてしまい、
すっかり抵抗する気力を失くして、目を閉じた。
抵抗すればする程アッシュを煽ってしまうのだから、逆に抵抗しなければ、アッシュも気分が下がって、自分に興味を失くすかもしれない…などと不意に思いつく。
覆い被さるようにしていたアッシュが身体をずらすのを感じて、ルークは信じられない思いに駆られながらも、期待通りになったのかと内心で喜んだ。
しかし、
「…っえ……」
足の指先に生温かい何かが触れ、
ルークは驚いて上体を僅かに起こし、自分の足元に視線をやった。
アッシュがルークの左足の指を舐めていた。
いや、舐めているだけではない。一つの指を口に含むと、指の腹を舌で丹念に舐め回し、爪と肉の間を舌先でつつきながら、まるで唾液を侵入させようとしてるかのように、たっぷりと濡らしてゆく。
「…っ、お前、何やってんだ、汚ぇだろうが!!」
左足を動かそうとしても動けず、代わりに自由な右足でアッシュの顔面を足蹴にして引き剥がそうとするのだが、まるで離れる気配がない。汚らわしい行為を目の前にして、頭の中は嫌悪感でいっぱいだ。しかし、敏感な足裏を舐められているせいか、くすぐったいような気持ち良いような不思議な感覚が、腰の辺りにざわざわと絡みつき始めた。
何とか理性を保とうと考えて気を引き締めた時、
アッシュが余った片手で自身の下半身に手を延ばしている様子が目に映る。
「…っお前、マジで何やってんだよ……っ!」
ルークの足を舐めながら、いつのまにかアッシュは自慰を始めていたのだ。
「…ルー…ク……兄…上……ぁに、うえ……っ…!!」
アッシュの早くなった呼吸が、足先を掠め、ルークはぶるりと身体を震わせた。
「…ぁ、やめ……っ、あ…しゅ、っばか、汚ぇ…って……っ!!」
兄の自分から見ても、正しく高潔と称えられるべきアッシュが、
今はまるで地に這いつくばるようにして、ルークの足を舐めながら自慰に耽っている。
その事実を目の前に、ルーク自身にも理由は分からないが、
訳の分からない感情に駆られ、涙が滲んできて零れそうになった。
! 強 制 終 了 !
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07.12.2013. By SHIOSATO
えろが中途半端で申し訳ありませんでした!!
(えろ書くの下手ですいません…ていうか、全然えろくないですよね、これ…)
近い内にキムラスカは滅びそうです。またクーデターが起こりそうです。
「打倒、変態!」で。
王家の醜聞なんて隠微な響きで、個人的には大好物なんですがねー…。
この後に、元ルーク派によるアッシュ暗殺計画とか持ち上がって、
ルークがアッシュを守る為に奮闘したりしたら、個人的に好き展開なのですが、
守ってくれるかな…ルーク……(遠い目)
お求めのドMには程遠い、ぬるいものだとは思いますが、
これが私の書ける精一杯のドMでした。
(お小水を飲ませる案も考えたのですが…今回は展開に組み込めませんでした)